第29章 白牡丹月夜月夜に染めてほし
気が付けば、拒絶の言葉を吐いていた。
声をあげて泣いてしまいたい。
土「・・・やめるわけねぇだろ」
『・・・ねが・・・いします・・・言うから、全部・・・い・・・から・・・だから・・・も・・』
嗚咽が混じって自分の言っている言葉すらわからない。
土「素直になれるじゃねぇか」
トシが私から離れていく。
そこで堰を切ったように大粒の涙が流れてくる。
我慢していた鳴き声も全部全部・・・
『っああああ!!うっ・・・く・・・』
苦しくて苦しくて
悲しくて悲しくて
土「オイ!?」
気が付けば、酸素を肺に取り込めなくなっていた。
上手く空気が吸えない。
ヒューヒューと喉が泣き叫ぶ。
生理的な涙がまた溢れだす。
土「オイ、ゆっくり息しろ!」
遠のいていく意識の中、トシに向かって手を伸ばす。
土「・・・かり・・・ろ!瑠維!!」
私の意識が途切れる直前、叫ばれた言葉に救われた気がした。