第29章 白牡丹月夜月夜に染めてほし
土方side
あの女が倒れた時、とっさに名を呼んでいた。
罪人に、余計な肩入れはしねぇ。無論、名を呼んだりも・・・
それなのに、なぜか呼んでいた。
瑠維
と
女が倒れた後、屯所に万事屋が怒鳴り込んできた。
アイツはルイの幼馴染的な存在。
なのに、ルイに目もくれずあの女を抱きしめた。
意識がない女をすごい力で。
それを見た時、あいつを殴り倒してやりたくなった。
触れるな
俺が愛したのはルイのはずだ。
なのにどうしてこんなに苦しくなる。
銀「瑠維に何しやがった!!」
俺に掴み掛ってくる万事屋。
その口から飛び出したのは、先ほど無意識に呼んでいた名前。
土「・・・俺ぁ・・・」
銀「ああ゛!?」
土「そいつが倒れた時、無意識に瑠維って、名を呼んでた」
俺の言動に虚を突かれたように万事屋は目を見開いた。
土「俺はその女を知ってんだな」
銀「なんでそう思う」
土「俺はその女の事を何も知らねぇ。・・・はずだ。なのに、今、お前が触れてると無性に腹が立つ。引きずってでも俺のところに居させてぇと思ってる」
万事屋は少しためらうように頭をかくと、ため息をついた。
銀「今のお前に言っても何も思い出せねぇよ」
土「どういうこ・・・」
銀「ルイ?と別れて俺んとこに来れたら教えてやらぁ」
瑠維という女は万事屋が連れて帰った。
最後の万事屋の言葉。
それだけが頭に響いていた。