第28章 武蔵野やつよふ出てくる花見酒
席に案内し、お妙さん、近藤さん、トシ、私の順に座る。
はっきり言って、心の中は嵐のように荒れ果てている。
妙「近藤さん、今日は飲まれてるんですね」
近「あ、わかります?いや~、ちょっとそこでひっかけてきて」
お妙さんも私のために近藤さんといつもより多めに喋ってくれるようになっていた。
『近藤さん、土方さんの彼女さんってどんな人なんですか?』
なるべく話題をルイって女の方に向ける。
トシが「ルイ」という単語にぴくりと反応した。
近「そうだなぁ・・・可愛くて、ふわふわしてて・・・守ってあげたくなるような女の子かな」
『へぇ~、そうなんですかぁ~。いいな、羨ましい』
悪かったね!可愛くないし、喧嘩っ早いし、ふわふわ、というよりぎすぎすしてて!
近「トシから告白したんだよな」
土「ああ」
近「いや~、ルイちゃんはほんとに可愛い。男所帯の中の癒しだ」
癒しじゃないですよ~、男所帯の中で男と同じように生活してましたよ。
近「お妙さんもルイちゃんのことは知ってますよね?」
妙「え・・・ええ。でも、前のルイちゃんはもっと・・・なんというか違ったような気が・・・」
ナイスお妙さん!
違うというか、正反対ですけど!
近「そうでしたっけ?・・・まあ、昔はいろいろやんちゃしてたみたいですけど、若気の至りってやつですよ」
若気の至りって・・・私、まだ若い方だとおもうけど!?
近「なあ、トシ」
土「・・・アイツが危険なのは変わりねぇ」
そう言うと思ってたよ。事あるごとに、私に見張りつけるもんね、アンタ。
近「でも、愛してるのは違いねぇよな」
土「まぁな。最近は、なんか・・・大人しくなったけど」
『大人しくなったって?』
やべっ!普通に喋った!
土「なんつーか・・・昔はもっと目が離せなくて・・・うるさくて・・・バカっぽかったような気が」
何じゃそりゃ!
酷くね!?一応彼女のこの私に!しかも目の前で!
『で・・・でも、信頼はしていたんですよね?』
土「ああ・・・」
よかったぁ・・・これで信頼してないとか言われたら、さようならだったし。