第27章 人の世のものとは見へぬ梅の花
ほどなくして、瑠維の自室についた。
なんの前置きもなしに、がらりとふすまを開けた。
すると・・・
ル「あ、銀時」
なぜかそこには小柄で可憐なピンク色の、なんだかふわふわした美少女がいて・・・
銀「あ、間違えました」
銀時は条件反射でふすまをぴしゃりと閉めていた。
銀「いやいやいや・・・瑠維はもっと大柄だった。髪もピンクじゃねぇし、つーかピンクもふわふわも似合わね女だった。可憐とかまったくふさわしくない女だった」
うんうん、と一人で「だった、だった」繰り返しながら歩いていたが、突如、背中に衝撃が走った。
衝撃が走ったとはいっても、トスっと軽く何かが当たった程度。
銀時が振り返ると
ル「どうしたの、銀時?なにか用があったんじゃないの?」
となぜか自分に抱き着く先ほどの美少女の姿が・・・
銀(いやいやいや!?ないないない!!まず瑠維の場合、
『何の用?つーか、人の部屋に無断で入って出ていくなんてありえなくない?』
と暴言が来るはず。しかも抱き着いたりは絶対しねぇ!
鉄拳ならよく食らうけど、あいつに抱き着かれるとか天変地異が起こるんじゃないかってくれぇ珍しいし!)
一人テンパっていると、その女は花が綻んだように笑った。
ル「おかえりなさい。宇宙旅行に行ってたんでしょ?お妙さんに聞いたよ。無事に帰ってきてくれてよかった」
そして銀時はまた心の中でシャウトする。
銀(違ぇぇぇ!!絶対これ、違ぇ!こんなこと言わねぇもん!言うとしても、死ぬ直前とかだけだよ?あの女はこんなに素直じゃねぇ!)
そりゃあ変貌ぶりに、驚くのはしかたがなかった。
土「オイ」
低く聞き覚えのある声に、銀時は目をやった。
そこには恋敵である土方の姿があった。