第26章 裏表なきは君子の扇かな
土「どうした」
原「はい、この女が屯所内に侵入しまして・・・」
不思議そうに私を見ている。
・・・まさか・・・
土「いい年してコスプレたぁ、随分なご身分だなぁ」
覚えてねぇのかよ!!
ふざけんな、このクソ副長がぁぁぁ!!
ニコチン中毒で死にやがれ!!
沖「事情聴取は俺にやらせてくだせェ。結構な体と顔してるんでねィ」
近「ちょっと二人とも、女の子泣かせたらダメでしょ!」
泣いてる?
ああ、下向いて肩震わせてるからかぁ・・・
『泣いてるわけ・・・』
近「ほら、原田も手を・・・」
『ねーだろうが、このゴリラぁぁぁ!!』
そう叫ぶと同時に、私は羽交い絞めしている原田さんの鼻めがけて、後頭部で頭突きをした。
女がそんなことするわけないと高を括っていたのだろう。
狙い通り、原田さんの腕は外れた。
「取り押さえろ!!」
原田さんがそう怒鳴るが、私に普通の隊士の攻撃が当たるはずもない。
真剣を使われようとも、避ければいい話だ。
そのまま私は自分の部屋・・・だった場所に入り、隣接している部屋のふすまを開け放つ。
どこの部屋がどうつながっているとか、完璧にわかるので、私は後ろからくる隊士に追いつかれないように猛ダッシュでふすまを開けながら逃げた。
最後の一枚を開けた時、目の前にいたのはなぜか