第21章 初めての・・・
それにしても・・・
『なんか・・・久しぶりだなぁ』
つーか・・・ほとんどないよね?トシの寝顔見ることなんて。私の方が先に寝るし、私の方が後に起きだす。
穏やかな顔して眠っていると、悪戯したくなる。
それはさすがにやめたが。
『うっわ・・・髪サラサラ・・・』
頭を撫でると、指と指の間を綺麗な黒髪が流れ落ちていく。
そのまま、頬に手をおろし、輪郭をなぞる。
土「ん・・・」
小さく身じろぎをする。起きたかな?と思ったが、かなり深い眠りについているようで、また眠った。
次は指で唇をなぞる。少し荒れてて、きつく結ばれている。
『かわい~・・・』
油断しまくりだな~とか思ったりもするが、スキはほとんどないに等しい。
その小さなスキに入り込むのが私なのだが・・・
『おつかれさま・・・』
先ほどなぞったばかりの唇に、私の唇をほんの少し当てる。
そのまま部屋を出ようと背中を向けた時、いきなり背後から手が回された。
『わっ・・・』
土「おかえり・・・瑠維」
後ろから抱きしめられ、耳元でささやかれる。
『ん・・・ただいま』
ぎゅうっと腰に回された手に力が入る。
なんか・・・落ち着くなぁ・・・
土「ねみぃ・・・」
『寝てていいのに・・・手伝うよ?』
土「いや・・・」
まだ半分寝ぼけているのだろうか。単語単語で言葉を紡いでいる。
土「あ~・・・」
『どうしたの?』
土「いや・・・久しぶりだなと思ってな・・・」
いつもより甘えてくるトシ。
やっぱ・・・可愛い・・・
土「近藤さんに何もされなかったか?」
『アハハ・・・してたらこの世にいないと思うよ?』
土「・・・それもそうだな」
トシは微笑みながら、私の髪に触れる。
土「少し伸びたな」
『ん~?ああ・・・切ろっかな~。邪魔だし』
伸びかけの髪を引っ張りながらそう言うと、ふぅんと興味なさそうな反応が返ってきた。
『そっちが聞いたのに・・・』
土「どっちでもいいだろ。長い方が似合ってたような気もするけど・・・まあ、短いのもいいが」
『・・・じゃあ伸ばそっかな・・・』
その後もベタベタと甘えてくるが、邪険には扱えない。
別に嫌じゃない・・・つーか、嬉しいし。
土「瑠維、キス」
『・・・私からしろって?』
土「ああ」
短い返事の後、トシは大人しく目をつぶる。