第21章 初めての・・・
こんなに無防備なトシを見れるのは私だけだろう。
本当に端正な顔立ちをしている。
『さ・・・さっきしたでしょ』
土「寝てた」
『絶対起きてた!!』
トシはいったん目を開けると、私の腰を引く。
土「俺から長ぇのしてもいいってのか?」
『う・・・それは・・・』
土「俺はそっちのがうれしいけどなぁ?」
この・・・悪魔!
総悟と同レベルだよ!
『じゃあ・・・早く目ぇ閉じてよ!』
土「はあ?こんな遠い所で目ェ閉じる奴いねぇよ」
『いいから!!』
不満げに小言を言ってはいたが、すんなりまた目を閉じた。
薄い唇に軽く自分の唇を触れ合わせる。
すぐに離そうとしたが、後頭部に手をかけられ深く長いキスへと変わる。
『ちょっ・・・ま・・・て・・』
土「待て?二週間会ってねぇんだぞ?それで待てたぁ余裕だな、瑠維」
唇が触れるか触れないかの位置で喋られると、変な気持ちになる。
私は少し笑いながら、トシに言う。
『・・・寂しかった?』
その言葉にトシは驚いていたが、私から視線をそらしながら頬を染めた。
土「わりぃかよ・・・」
その仕草というか・・・表情が想像以上に可愛くて・・・
『トシ、かわい~!!』
トシの首にしがみついた。
さすがに手加減をしてはいるが・・・
土「男に可愛いはねぇだろ」
『別にいいでしょ。そんなトシ見れるの私だけだもんね~』
笑いながらそう言えば、また少し膨れる。
土「・・・うるせぇよ」
『だから、そういうのが可愛いんだって!!』
向かい合わせで抱き合っていると、トシは耳を甘噛みしてきた。
『やぁ!・・・ちょっと・・・』
土「弱ぇよな・・・」
ムカつく・・・調子に乗りやがって・・・
土「今日の夜・・・な」
『誰も心待ちにしてない!!』
土「心待ちにしてるなんざ言ってねぇけど?」
『・・・死ね!』
ギャーギャーその状態で言い合っていたが、顔を見合わせ笑った。
『ただいま』
土「おかえり」
寂しかった?
・・・それは私もだよ、バーカ。
とか言ったら、またドヤ顔で笑ってくるだろう。
ムカつくけど、大好きな彼氏。
たまに本気で死んで欲しいけど。