第19章 人から見るのと自分の判断は違う
最初見た時は、
沖「なんでィこの女。また普通の奴らみてぇにうざいだけだろ」
とかそんな感情を持ち合わせていた気がする。
顔はよかった。でも、なんか引っかかったのも確かだ。
今となればそれは、舞鬼神としての瑠維の尋常じゃない雰囲気とかだったんだと思う。
『あ、見つけた』
他の女とは違って、人を見た目では判断しねぇ。
『何食べてんの?』
ちょっとずれててよくわからねぇ。
『副長怒ってたけど・・・』
でも、こんな瑠維を心の底から
『まあ、いいか』
信頼してんのは自分でもよくわかってる。
沖「アイスでさァ。瑠維も食べやすかィ」
『あ、うん!』
それなのに、どうして瑠維は、土方のヤローなんかを好きなのかわからねぇ。
未だに姉上を忘れられなくて、ヘタレであんなくそヤローをどうして瑠維が愛想をつかすことないのか理解不能だ。
沖「瑠維は・・・」
『ん?』
沖「土方さんのどこが好きなんですかィ?」
『え?』
あ、アイス落とした。ほんとわかりやすい。
『ん~・・・どこかなぁ』
沖「・・・は?」
『よくわかんない。顔とか?』
意外過ぎる答えが返ってきた。
沖「土方さんの顔だったら誰でもいいってことですかィ?」
『・・・違うんだよね~。なんだろ・・・理屈抜きで好きなんだよ、きっと』
沖「へぇ・・・意外なことで」
『うん、そうだよね』
まぶしそうに空を見上げる。そんな横顔も見とれるくらい綺麗で・・・
『よく考えないことだよ。めんどくさい』
それでもこんな風にばっさりと女らしくねぇことを言いきってしまう。
沖「瑠維は女らしさの欠片がねぇ」
『うん、考えてないから』
沖「土方さんに愛想つかされるとか思わないんですか?」
『・・・女らしくない私に惚れてるじゃん、アイツ』
ね?と意地悪そうに笑う。
姉上とはちょっと違ったタイプの女。でも、似ているところが一つある。
それは
誰よりも優しい
そういうところだ。
そんなところに、あのヤローも俺も・・・
瑠維の魅力にひきつけられる奴らは
全員わかっているんだろうと思う。
沖「あ、旦那が探してやした」
『あ、マジ?』
でも、旦那が一番瑠維のことをわかっているんだと俺は思う。