第15章 き・・・季節が真逆だ・・・夏祭り
トシの方から扇風機の方に顔を向けようとすると、いきなり抱きしめられた。
振り向くと、余裕の顔して笑っているトシ。
土「逃げようとしねぇのか?」
『どうせ無意味だし。・・・嫌じゃないしね・・・』
土「素直だな」
髪を撫でられ、心地よさに目を閉じると、キス
・・・・するはずだった。
近「トシ、今日は祭りだぞ!仕事は後回しに・・・・」
土「・・・近藤さん・・・」
『・・・さすがは天然・・・』
声もかけられることなく、ふすまを開け放たれた。
パッと離れることはなかったが、さすがに少し間を開けた。
『どうしたんですか?今日はいつにも増してテンション高いですね』
近「あ・・・う、うん。実はお妙さんを浴衣デートに誘おうと思って・・・浴衣も買ったんだ」
『へぇ~・・・それは・・・頑張ってください』
多分デリカシーのないこと言ってまたフラれるんだろうな・・・
近「じゃあ・・・お邪魔しました」
そう言い残し近藤さんは浴衣を持って、バタバタと走って行ってしまった。
いや・・・仕事は?
嵐が過ぎ去るようにして近藤さんが去った後、私は扇風機の前を陣取った。
土「・・・おい、瑠維」
『ワレワレハウチュウジンダ』
土「しねぇのか?」
『キョウガソガレマシタ』
土「・・・誕生日の日に行こうな」
『ダレノ~?』
土「お前のだろ。浴衣で」
『・・・カンガエトキマス』
覚えてたんだ。私の誕生日覚えやすいからな、ゾロ目だし。
ま、今日の祭りはリンゴ飴と、綿菓子と、かき氷と、クレープと・・・・
よっしゃ!食べまくるぞ~!!