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苦しみの中の幸せ Part3 [銀魂 土方落ち]

第14章 本当の事


ポンと私の頭に手を置くと、撫でた。

土「どうした?」

その言葉にゆっくりと顔を上げる。
トシは少し驚いた顔をして、私を見つめるとそのまま含んだように笑う。

土「なんだよその顔」
『泣いてただけ・・・』
土「んなもん、見りゃ誰だってわかる」

それ以上何も聞いて来なかった。だから、私が話し出した。

『あの人・・・ほんとの名前鶴岡真太郎じゃなかった』
土「はあ!?誤認逮捕だって・・・」
『違う。鶴岡真太郎ってのは偽名で・・・あの人顔も名前も正体も隠してた』
土「どういうことだ?」

その言葉に私はうつむいた。

『名前以上のことは聞かないでね?』
土「・・・ああ」

大きく息をつくと、その名前を口に出した。

『・・・藤間誠司』
土「藤間・・・・藤間!?」
『うん・・・彼の本当の名前は藤間誠司・・・・私の・・・兄・・・』
土「でも、ならなんでお前を・・・」

トシはそれを言ったが、すぐに口を閉じた。
そして私を抱き寄せた。

暖かくて、優しい。煙草の匂いがする。耳を澄ませると、心臓の音がした。

もっと早く気づいてたら生きてたのだろうか?私が気を付けてればこんなことにならなかったのだろうか?

そんなのわからない。わかるはずもない。

もう終わってしまったのだから。

土「お前のせいじゃねぇ」
『・・・私のせいだよ・・・気づけなかったんだから』
土「あいつがきづいてほしくなかったんだろ?じゃねぇと本人に・・・瑠維に言うはずだ」
『でも、気付けなかった。私、殺そうとしたんだよ?本気で殺そうとしたんだよ・・・』

涙がまた溢れてくる。自分の行ったことがどれだけ最低でどれだけ自分勝手で・・・

『結局・・・自分のことしか考えてなかった。また、失った・・・なんで?・・どうしてよ!!』
土「瑠維、落ち着け」
『守ろうとしてくれてたのに・・・それなのに!私が殺したんだ・・・・兄さんを・・・あんなに優しかったのに・・・私が!』
土「瑠維!!落ち着け!」

トシに揺さぶられる。


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