第14章 本当の事
土「いいか、誰も悪くねぇ。お前が罪悪感に飲まれるこたぁねぇんだ。詳しいことは知らねぇが、お前は守ってくれただろ?」
『・・・守った?誰を?』
土「俺らのこと、守ってくれただろ?それでいいじゃねぇか。だからもう自分のこと責めんな」
私の目の前にトシは座り込み、涙をぬぐってくれる。
土「だからもう泣くな。せっかく綺麗なツラしてんだから」
『・・・優しすぎてキモイんですけど・・・』
土「・・・やっぱもうちょい泣いてろ」
『嫌だ』
目を擦りながら立ち上がる。トシもため息をつきながら立った。
『そうだ私、天人だったよ。なんか、傷が再生するらしい』
土「立ち直るの早過ぎだ」
『うじうじしてても・・・・って言っても、さっきまで泣いてたか。まあとにかく、先に進めないしね』
兄さんの分まで生きる・・・なんて無責任なことは言うつもりはない。だから・・・
『ちょうどいいでしょ?私には・・・。兄を殺したっていう、罪をかぶって生きるのは』
きっと私の死んだ後の行先は地獄だろう。それでもかまわない。だから、今はみんなと一緒に進みたい。
『・・・何より・・・』
土「あ?」
『ううん、なんでもない』
この、ニコチンマヨ過剰摂取野郎の隣に居たいってのが一番だからね。
『いたっ!?』
そんなことを思っていると、いきなりデコピンが飛んできた。
『何すんの!』
土「今俺のことバカにしたろ?」
『え!?・・・いや~そんなこと・・・』
土「視線そらし気味で言ってたらバレバレなんだよ!」
次はげんこつがおちてきた。私は頭をさすりながら言う。
『ぎゃー!!ドメスティックバイオレンス!!』
土「・・・勝手にやってろ」
『あ、うそうそ!ごめん、怒んないでよ!ごめんって!!』
この傷は癒えない。でも、背負って生きていくことならできる。
もう二度と戻らない。でも、もう一度歩みたい。
今度は誰も失わないために・・・
強くありつづけよう