第14章 本当の事
土「・・・何やってんだ、お前」
呆れたようなトシの声。当たり前だろう。警察が警察に捕まったのだから。とはいっても、建物の外に連行されただけの話だ。
『・・・すいません』
みっともなくて顔があげられない。
いや、本当は先ほどまで泣いていたから顔を見せたくないのだ。
気づけなかった。そして、また失った。
どうしてこう、私は無力なんだろう。何も護れない。何も救えない。ただの偽善者だ。
一向に顔をあげようとしない私にトシの怒りは溜まってきているようだ。
土「顔あげろ」
『・・・無理です』
土「・・・」
『・・・嫌です』
無言の圧力に耐える。
すると
「あの・・・副長のお知り合いですか?」
凛とした声がした。それは女の声で、きっと新隊士だろう。トシは声のした方を向く。
土「・・・これが真選組参謀の藤間瑠維だ。瑠維、こいつは新しい隊士の如月麗奈(きさらぎれな)だ。一番隊に所属することになった」
如「はじめまして如月と言います!お会いできて光栄です」
無邪気な声でそう挨拶される。でも、さすがに顔だけは上げたくない。
『・・・ごめん、ちょっと今は顔、上げられないんだ。たぶんひっどい顔してるから』
如「え?」
『仕事に・・・戻って?』
如「は・・・はい」
パタパタと走り去っていく音を聞く。
土「挨拶ぐらい真面目にしねーか」
あまり怒っていなかった。もっとめちゃくちゃ怒られるかと思ったのに・・・
そのまま私の隣に腰かける。