第14章 本当の事
後姿を見つけてね。もしかしたらと思ってさ
そう神威は言った。ニコニコと笑っている。
神「どうしたの?そんなに俺に会えてうれしい?」
阿「んなわきゃねーでしょ。このすっとこどっこい」
後ろからは阿伏兎も出てくる。
最悪だ・・・・最悪通り過ぎて泣けるよ。
『・・・タイミング悪すぎでしょ・・・』
肩を落とす。その瞬間、神威がいきなり私の前に来た。
でも、殺気はまったく感じられなかった。
『・・・どうしたの?神威』
前に現れた神威の頭を撫でた。
そして、晋助と話している最中から気になっていたことを口に出した。
『知ってたんでしょ?神威は。だからこそ私をあの時、あそこまで追いつめて殺さなかった。それは私の力を覚醒させるため・・・』
うつむいた神威の顔を覗き込んだ。
『やっぱり神威は裏切ってなかった。裏切れないよね?神威は私のこと、本当に大好きだから』
今まで私はこんな風に神威の言葉を肯定したことはなかった。
私のことを好きでいてくれたのは知っていた。でも、それを冗談半分にしか受け取っていなかったのは、向き合いたくなかったから。
『神威、私も大好きよ。でも、ちょっと違った意味で。恋人にはなれないけど・・・大切な人』
神威をそっと抱き寄せる。
『ありがとう、私のためだったんだね』
神「・・・ばれちゃった?」
『当たり前でしょ?さてと、私はいかないと』
神威から離れると、阿伏兎に言う。
『阿伏兎、神威のこと頼むよ?』
阿「はいはい、わかってますよ姉さん」
『ありがとね』
そしてそのまま小型船に乗り込む。
『神威、たまには地球に遊びにおいで』
神「警察なのにそんなこと言って大丈夫なの?」
『大丈夫じゃないかな。ま、ばれなきゃいいって』
そのまま扉を閉めた。
神威ならこじ開けようとしたらできる。というか、壊すことも可能だ。
それをしないのは、神威が私を信頼してくれているからだと私は思いたい。
そのまま地球に向かってとんだ。