第28章 オトリの凄さ
菅「うじうじ、クヨクヨ、イジイジしててすみませんでした」
いつもの笑顔を見せて、菅原先輩が頭を下げた。
澤「そこまで言ってないって」
そんなやり取りを聞きながら、私も一緒に笑ってしまう。
西「紡ー!!」
『わっ?!···西谷先輩、急に飛び付いてきたら危ないですよ』
駆け寄って来た西谷先輩がそのままの勢いで私に飛びつき、よろめいた私を東峰先輩が支えてくれる。
旭「大丈夫?···西谷はいつも全力で元気だな」
すみません、と東峰先輩に言葉を添えて体制を整える。
澤「頼れる西谷も戻って来たし···でも教頭を突き飛ばしたりするのは二度となしね?···あぁ、あと、名ばかりのへなちょこウイングスパイカーも戻って来てたなぁ、そう言えば」
澤村先輩らしい弄り方で、東峰先輩にそんな言葉をかける。
でも本当は、澤村先輩もエースの復活を待っていたひとり···なんだけどね。
『あ、そうだ!西谷先輩、教頭を突き飛ばしたりしたら大変ですよ!だってあの教頭って、確かヅラが···フガッ···』
澤「わーっ、やめろ!それは口に出すな!···夢に···また夢に出てくるだろっ!」
夢に?
『···プハッ···大地さん、どんな夢を見てたんです?』
口を塞がれた手から逃れて聞けば、ちょっと困った顔をして、言えるわけないだろ···と返された。
菅「アハハッ!大地が言わないなら、オレが教えてあげるよ。あのね紡ちゃん···大地はね?」
『はい』
澤「やめろスガ!」
内緒話で、菅原先輩がこっそり澤村先輩の悪夢を教えてくれる。
それは、普通ならあまり見ることがないだろうという内容の夢で···
『大地さんが、日々···そんな夢を···』
そう零しながら私は澤村先輩を見て笑ってしまう。
澤「やめろって言ったのに···スガ···」
菅「まぁいいじゃん?」
澤「言いワケあるか!」
西「大地さん、そんな心配ばっかしてたらハゲますよ?」
澤「お前が言うな!!」
これが今までの3年生組の通常運転だったんだなぁ。
そして···きっとこれからも···
繋「よーし!じゃあ一発シメて上がれ!」
ナイスなタイミングで繋心がみんなを呼び、みんなは繋心の所へ集まり輪を描く。
澤「烏野ー!ファイッ!」
「「 オーーッ!!! 」」
これが、新しい烏野の···始まり。