第27章 小さな太陽と大きな背中
気持ちの上では、これでエース復活。
あとは、どう進んでいくかが大事。
それにまだ、もう一人···責任を感じて自分を攻め続けていた人がいる。
ー ピッ! ー
ホイッスルを合図に日向君がサーブを打つ。
ー 日向ナイッサー! ー
あっ···!
日向君のサーブは、ネットの白帯に当たり···
ー ネットイン!! ー
島「おっと!···すまん!カバー頼む!!」
咄嗟に島田さんが飛び込むもボールは菅原先輩とは逆の方向へ!
ー ロン毛の兄ちゃん!ラスト頼む! ー
町内会メンバーの人が島田さんからのボールをカバーして···東峰先輩に声をかけた。
ボールの行方を追いながら、東峰先輩に視線を移す。
その先に躊躇いながら、1歩、2歩と動き出す東峰先輩が映る。
東峰先輩!!
影「止めんぞ!」
月「命令しないでくんない?」
田「本気で行くッス···旭さん···」
···出来るなら。
どうかこのスパイクは決めさせてあげたい。
東峰先輩の、大事な最初の1歩を···躍進させてあげたい···
目の前で、私なんて到底届かない高さで東峰先輩がスパイクモーションに入る。
小さい時からずっと、高い高いコートの空は私にとって憧れで。
どんなに高く羽ばたいても···決して届かなかった、空···
だからこそ。
それを補える場所で、広く高い大きなコートの空を、自由に羽ばたける人へと繋いで来た。
そして今、翼を痛めていた大きな鳥が、いま···その翼を広げてはばたこうとしている。
影「クッ···」
地鳴りのような大きな音を響かせ東峰先輩が打ったスパイクは、影山の手に当たり弾かれた。
ゆっくりと、スローモーションのようにボールがコートに向かって行く。
間に···合わない···
思わず諦めかけてしまった、その時。
小さな影が動いた。
西谷先輩!!
島「おおっ!上がった!!」
懸命に飛び込んだ西谷先輩が拾い上げ、まだ···ボールはまた空へ向かって昇っていく!!
西「壁に跳ね返されたボールも、オレが繋いでみせるから···だから···だからもう1回!トスを呼んでくれ!!エース!!!」
東峰先輩···届いていますか?
この声が、思いが···
みんな、エースの復活をずっとずっと···待っているんです。
だから···
もう1回!!