第27章 小さな太陽と大きな背中
『ハゲつる繋心~!私ラインズやってもいい?!』
繋「だからそれで呼ぶなっつんだよ!」
わざとらしく大声で言って、繋心に駆け寄りながら東峰先輩の背中にワンタッチする。
ちょっと驚かれたけど、それでも、それでいい。
私なりの小さな勇気を送りたかったから。
繋「チビッ子、お前ラインズとかちゃんと出来んのか?」
『ちゃんと出来ます!これでも一応、中学まで部活やってました!それに、じっちゃに教えて貰ったし!』
繋「お前ホント、クソジジィの直伝多いからなぁ···ムダに」
『ムダって何よ!あと桜太にぃ達にも教えて貰ってるもん!』
繋「一々ブラックツインズの名を出すな!」
ケラケラと笑いながら、繋心と言い合う。
そんなに桜太にぃ達って、繋心に意地悪してたのかなぁ?
嶋「あのさ繋心。ここへ来てからずっと思ってたけど···ハゲつる繋心ってなんだ?」
繋「···そこは聞き流せ嶋田。そして掘り返すな」
嶋「ふ~ん?ま、今度じっくり吐かせますかね。んで、そこのお嬢ちゃん?」
ポンっと繋心の肩を叩きながら、私の方をクルリと向く。
『お嬢ちゃん?!』
嶋「そ、お嬢ちゃん。オレの記憶違いじゃなければ···なんだけど、うちの店に何度か買い物に来てない?」
うちの···店?
ざっくりとウチの店って言われても、ざっくり過ぎて···わかんないんだけど。
う~ん···と考えながら、何気なく繋心の顔を見る。
繋「コイツんちスーパーなんだよ、嶋田マートっつーの。名前くらい知ってんだろ」
嶋田マート···?
『···あぁ!!毎週月曜日に牛乳特売の!』
桜太にぃがネットチラシでよく見てるとこだ!
嶋「イエ~ス!ちなみに火曜日はタマゴの日ね」
『知ってます!おひとり様1点の!』
繋「主婦かっ!」
『嶋田さんて、そこのお店の人だったんですね!どうりで···』
なんか見たことあるなぁって思ってたら···
嶋「やっぱりそうか!時々買い物に来てくれてたよね?オレはかわい子ちゃんはチェックしてっから」
『かわい子ちゃん?』
繋「島田···悪いことは言わねぇ。コイツだけはやめとけ、マジで」
話が見えない···
嶋「何でだよ?いいだろ別に。オレの趣味のひとつはかわい子ちゃんウォッチングなんだから。取って食うわけじゃあるまいし」