第27章 小さな太陽と大きな背中
~東峰side~
西谷の叫びに、心が痛む。
スパイクが···スパイクが打てるのは、トスが上がるから。
菅 ー もう1回、オレにトスを上げさせてくれ、旭 ー
トスが上がるのは、そこに繋がるレシーブがあるから。
西 ー オレが繋いだボールを、アンタが勝手に諦めんなよ!! ー
そのスパイクを打つのだって、オレだけじゃない。
大地や、田中や、他のヤツらだって。
みんながそれぞれの仕事をしていたのに、オレは···
影 ー 一人で勝てないの、当たり前です ー
日 ーだからみんな、旭さんをエースって呼ぶんだ ー
澤 ー まだバレーが好きかも知れないなら ー
西 ー だからもう1回、トスを呼んでくれ!エース!!! ー
オレも···
オレだって···
島「オーライ!」
菅「···島田さん!」
「スガ─────────!!!」
誰の声にも負けない。
自分の存在をアピールするように、そして確実にスガに届くように叫ぶ。
スガ···今度は、何度だってトスを呼ぶから···オレにまた、トスを上げてくれ!!
決まるまで!!
何度だって!!
もう、逃げたり迷ったり···しない!
頼もしい背中の護り。
オレの為の、1番打ちやすいトス。
···底なんてない。
単純で当たり前のことも、いつの間にか忘れていた。
オレは一人でたたかってるんじゃない!
だから。
西谷がレシーブで繋いで···
スガがトスを上げて···
オレに繋いでくれたのだから···
打ち切ってこそ
エース!!!
渾身の力を込めてスパイクを打つ。
今度はブロックになんて止めさせない!
オレの手から離れたボールは、コートの床に沈んで行った···