第10章 烏野高校男子バレー部
桜「それで、学校で何があるの?」
もう1度桜太にぃが私に問いかける。
『ちょっと、理由は言えないんだけど・・・』
慧「理由も言えないのに、はい、そうですかってオレ達も言えないだろ」
慧太にぃの言うことは、確かに正論でもある。
未成年の、しかも女子が明け方から家を出て登校するなんて、世間一般論からしたら、余程何かあるんじゃないのかと思われるのが普通かも知れない。
でも、私は私の中で気持ちに整理がついてないのに実はこうなんです・・・とも言えない。
やっぱり無謀だよね・・・と諦めかけた時、腕組をして考えていた桜太にぃが私を呼ぶ。
桜「紡、分かった。いいよ。紡が今は理由は言えないって言うんなら、俺も無理には聞かない。でもね、ちゃんと話せる理由がまとまったら、俺にも慧太にも話すこと。それが条件、かな?」
慧「桜太!またそうやって紡を甘やかして!」
桜太にぃがスッと手を伸ばして、まぁまぁ、と、慧太にぃを抑制する。
桜「どう?この条件飲める?」
優しく笑みを浮かべながら私を見る桜太にぃの目をまっすぐ見て
『桜太にぃ、ありがとう・・・それから慧太にぃも』
オレはオマケかよ、と拗ねる慧太にぃをなだめると、
慧「そうと決まったなら、お子ちゃまはサッサと寝な。起きれなくても知らねーからな」
そう言って私の背中を押しながらリビングから追いやろうとする。
私はリビングのドアで1度振り返り、
『桜太にぃ、慧太にぃ、ありがとう。2人とも大好き!』
そう言って自分の部屋へ小走りで戻る。
我ながら恥ずかしい・・・
高校1年にもなって、年の離れた兄2人に大好きとか。
でもそれが、今の私からの最大の感謝と愛情表現。
明日からは数日早起きだ。
私はまだ早い時間だと思いながらもベッドに入り眠りにつくことにした。