第10章 烏野高校男子バレー部
3人でアレコレ会話を交わしながら食事を終えると、片付けくらい1人で出来るからと押し切ってキッチンへ立つ。
食器洗いを始めると、ぼんやりと今日の出来事を思い返した。
日向君のお願い攻撃、菅原先輩の言葉・・・。
« バレーが嫌いになったから、辞めたいんじゃないんじゃない? »
何度も何度も、その言葉が胸を刺す。
私、どうしたいんだろう・・・。
片付けを済ませ、お風呂に入りながらも、まだ私はウジウジと考え込んでいた。
澤村先輩を怒らせ、体育館出禁になった影山と日向君。
仲違いしている2人に出された条件。
そんな2人を陰ながらバックアップしている菅原先輩と田中先輩。
先輩方2人に至っては、通常の朝練の前に早く来て、澤村先輩に内緒で影山と日向君に体育館を使わせて特訓していると日向君が言っていた。
・・・確か・・・5時から、とか?
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あぁ!もぅ!!!
私は風呂場でひと叫びするとドライヤーをかける時間も惜しく濡れ髪のままリビングへ急ぐ。
大きな音を立てリビングに入る私を見て、桜太にぃも慧太にぃも驚いていた。
『桜太にぃ、お願いがあるんだけど・・・』
そう言って、ソファーに腰掛ける桜太にぃのそばへ寄り、床にそのまま座る。
桜「お願いって?」
そう聞き返しながら、私にもソファーに座るように促す。
言われた通り座り直した私は、思い切ったお願いをする。
『お願いっていうのは・・・あの、明日からなんだけど、ちょっとばかり早く学校へ行きたい・・・な・・・なんて・・・』
桜「早くって、何時くらい?」
『5時・・・には、着いていたいな・・・なんて・・・』
慧「5時?!」
換気扇の下で煙草を燻らす慧太にぃが声をあげた。
桜「それはまた、随分と早いね?そんなに早く行って、学校で何があるの?」
慧「そんな時間に学校ってあいてんのか?」
慧太にぃも話に加わろうと煙草を消して私の隣まで来ると、濡れ髪の私を見て1度側から離れ、ドライヤーを持って来て乾かし始める。
後で自分でやるからと断ったけど、風邪ひいたら困んだろと言って、半ば強引に乾かしてくれる。