第27章 小さな太陽と大きな背中
「何でだ!何で責めない!オレのせいで負けたんだろうが!お前がいくら拾ったって、スパイクが決まらなきゃ意味ないんだよ!」
澤「旭!」
まるで西谷がオレを責めないことを責めているかのように言うオレを、大地が止めに入る。
負けたのはお前のせいだ!
そう言って責められた方が、まだ···
西「意味ないって、なんですか···?じゃあ何で最後トス呼ばなかったんですか。打てる体制でしたよね」
···それは。
それはオレに···
菅「おい···やめろよ西谷。オレが旭にばっかりボール集めてたから疲れてたん、」
「オレに上げたって、どうせ決めらんねぇ···」
今日だって、何回ブロックされたと思ってんだよ。
西「打ってみなきゃ分かんねぇだろうが!次は決まるかも知れないじゃねぇか!!」
西谷の言葉と同時に、体が押された。
菅「西谷!」
西「オレが繋いだボールを···アンタが勝手に諦めんなよ!!」
そうだ···その通りだ西谷。
お前が繋いだボールで、スガがトスを上げて。
でも、スパイクが決まらないだったら···オレが打たなくても他にもいるじゃないか!
西「オレはリベロだ!守備の要で、チームの要だ!けど!···オレに点は稼げない···オレは攻撃が出来ない。でも、どんなにスパイクが決まらなくったって責めるつもりは微塵もねぇ。だけど···勝手に諦めんのは、許さねぇよ···」
···返す、言葉も出なかった。
あの時、あの最後のチャンスで···トスを呼ばなかったのは、オレだったから。
何も言い返せない。
返す言葉も浮かばない。
息が詰まりそうになったオレは、黙ったまま、その場から離れた。
澤「旭!」
菅「待てよ旭!!」
そしてその日を最後に、オレは体育館へ行くことはなかった。
なんとなく西谷を裂けるように過ごしていた、ある日。
校舎内でバッタリと西谷に出くわしてしまった。
西「昨日、何で部活来なかったんですか。新年度になったら、すぐインターハイなんですよ」
また、西谷か···
「決まんないスパイク打ったって、楽しくないからだ」
何言ってんだ···そんな事、少しも思ってねぇ。
「お前だって、拾っても点に繋がんないなら、虚しいだけだろ」
やめろ···西谷はそんな風に思うヤツじゃない。
「スガも、オレが止められる度に責任感じて、」
