第10章 烏野高校男子バレー部
1日の授業が終わると、私は誰より先に教室を飛び出し家路を急いだ。
それはもう、何かに追われているんじゃないかと言うくらいに、早く。
実際、日向君に1日中追われてはいるんだけども。
慌ただしく玄関に入り、バタバタと部屋までの階段を駆け上がる。
ようやく自分の部屋にたどり着いた時、なんだかホッとして、鞄を抱えたままでベッドにダイブした。
2回ほどゴロゴロと寝返りをうつと、騒々しさに驚いたのか、桜太にぃが部屋の外から声をかけてきた。
「紡?入っても平気?」
遠慮がちに声をかける桜太にぃに、大丈夫と返事をしながらベッドから起き上がる。
カチャリ・・・と音をさせ、桜太にぃが入ってくる。
「紡、おかえり。なんだか慌ただしく帰ったきたけど、どうかした?」
『え?ううん、大丈夫。なんかお腹空いちゃったから走って帰ってきちゃった』
とっさにそう返して笑うと、桜太にぃも笑いながら
「お腹空いて走って帰るとか、慧太みたいだね。じゃあ夕飯早く作るから、少し待てる?」
『あ、それなら私も手伝う!それより桜太にぃ、今日は仕事終わったの?それともこれから?』
「ん?昨夜当直して昼前に帰ってきたんだよ。で、ついでに言うと明日から3日間はおやすみになってる」
『そんなに休んで病院平気なの?』
「それがさ、休まなきゃいけない日数が溜まってて、ちょっと消化しなきゃいけなくてね」
『そうなんだ?』
「そ、だから休みの間は紡のわがままた~くさん聞いてあげるから」
そんなわがまま言うほどお子様じゃないし!なんて言い返しながら、着替えたら下に降りるねといって会話を終える。
もぅ、いつまで経っても小さい子扱いなんだから・・・
1人でブツブツいいながら、サッと部屋着に着替えて下に降りた。
桜太にぃと夕飯の支度をしているうちに、慧太にぃも帰宅し、どういう訳か3人で夕飯の支度をする事になった。
悔しいけど、うちの双子の兄は両方とも何かと器用に何でもこなすタイプのようで、本物の女子である私よりも、ずっと手際がよくあっという間に夕飯が仕上がってしまう。
女子力高い兄を持つと、悔しい。
久々の3人での食事は騒がしいながらも楽しく食べる事が出来た。
普段は3人揃う事があんまりないから、私と桜太にぃ、慧太にぃのどちらかと2人で食べるのが日常だったから。