第27章 小さな太陽と大きな背中
あの兄弟にして、この妹あり。
そんなザックリとした説明をすれば、元気の良さそうな3人がビクビクしていた。
「な?恐ろしいアニキ達の遺伝子が備わってんだろ?更に言えばアイツらは腹立つほど成績優秀でよ、教師受けはいいし、殆どの女子にはモテモテだし」
澤「つまり、それは···」
菅「ヤキモチ···」
桜太のヤツは、お前は王子か!って言いたくなるような振る舞いをして女子にはとにかく大人気。
更に腹が立つのは、どんな可愛い子から呼び出されても妹が一番だからって理由で全員断るところだ!
そして慧太の方は、桜太とは真逆でガサツでワイルド気取りのクセにこれまたモテる···
その割には本命作らずで慧太も妹が一番だと言いやがったんだ。
何より···何よりアイツらは!
中学運動部でありながら坊主じゃなかった!!
「っだぁぁぁ!!違う!断じて違う!···ま、とにかく、だ。ブラックツインズの身内がいても、音駒との練習試合までは引き受けた事はしっかりやるつもりでいるから安心しろ」
「「···っス!!」」
あ~クソっ!
遠いどこかに封印していた虚しい記憶を甦らせやがって。
「とりあえず6時半からゲームな。相手はもう呼んである」
澤「試合、ですか?」
「あぁ、お前達の実力がどれくらいか見たいしな。練習試合の相手は、オレもやってる町内会のバレーチームだ」
たっつぁんに電話しといたから、集められるだけの人数は···大丈夫だろうとは思うが。
軽く1セットやって、コイツらがどの程度の実力があるのかは見極めねぇと。
···その前に、だ。
コイツにここで会ったのは何かの縁だ。
たまにはジジィ孝行でもしてやっか。
「おい、そこの小学生」
『小学生?!誰のことですか!』
からかい半分で呼べば、ガブリと食いつきそうな勢いでオレを睨む。
「お前しかいないだろ···気が向いたら、ジジィにお前のこと話といてやる」
『ありがとう烏養コーチ!』
うっ、烏養コーチ?!
散々ディスった呼び方しといて、なんだその、なんかむず痒くなる呼び方は!
「あ~、それだけどな。お前にコーチって呼ばれると変な感じするから、普通にしとけ」
知った顔から、今更そう呼ばれたら···痒い。
『ハゲつる繋心?』
「ハゲつるはやめろ!もう坊主じゃねぇだろ!」
いつの話だ!
