第27章 小さな太陽と大きな背中
烏「昔から小さかったけど、あんま育ってねぇなぁ」
『気にしてるのに···ハゲつる繋心のクセに小さいとか言わないで!』
烏「だから、ハゲつる繋心って呼ぶな!」
だって、あの頃は丸坊主でみんなからハゲハゲ言われてたじゃん。
烏「まさかお前が烏野にいるとはな。ジジィに話したら喜んで飛んで来そうだな」
『じっちゃに会えるの?!』
烏「···気が向いたら、ジジィにお前のこと話といてやる」
『ありがとう烏養コーチ!』
じっちゃに会えるかも知れない嬉しさに、最大の敬意を込めてコーチと呼んでみる。
烏「あ~、それだけどな。お前にコーチって呼ばれると変な感じするから、普通にしとけ」
普通?
『ハゲつる繋心?』
烏「ハゲつるはやめろ!もう坊主じゃねぇだろ!」
『じゃあ、繋心?』
烏「なんで呼び捨てなんだよ?!」
『だって!他に呼び方ないし!』
烏「あぁもう!めんどくせぇ!それでいいよ、それで!」
じゃあ、繋心でいいんじゃん!とやり取りをする横で、武田先生と清水先輩が顔を合わせて笑い出した。
武「まさか城戸さんが烏養君と仲良しだとは知りませんでしたよ。ね、清水さん?」
清「えぇ、本当に仲良しで」
いや、仲良しとはちょっと違うかもです先生。
たまたま偶然が重なった再会なだけで、仲良しとは何か違う気がする。
足元に転がってくるボールを拾いながら、昔見たハゲつる繋心の姿と今を比べて、そのギャップに少し笑った。
澤「紡!中に入ってボール上げてくれ!」
『あ、はい!今行きます!』
拾ったボールを持ち直し、呼ばれるままコートに入った。
澤「スガと紡でトス上げてくれ。西谷は反対側でひたすらレシーブ。残り全員はスパイク練習で!」
それぞれが所定の位置に着く為に移動する。
いつもは影山と···なんだけど、今日は菅原先輩とトス上げになったのは何か考えがあるのかな?
菅「紡ちゃん?大地が呼んでるから行こう」
菅原先輩に促されて、一緒に澤村先輩の所へと向かった。
澤「2人にトス上げ頼んだのには、理由がある」
菅「理由って?」
菅原先輩が言うと、ちょいちょい···と手招きをしてヒソヒソ話をするかのように集まれと手招きをされた。
澤「あのさ?トスなんだけど···」
えっ?!そんな事を?
澤村先輩に聞かされた事に、私は驚くしか出来なかった。
