第27章 小さな太陽と大きな背中
清「じゃあ、献立については武田先生も交えて相談しましょう?」
『そうですね。人数も多いし、それに栄養バランスとかもあるし』
清水先輩と合宿に向けてのノートをまとめていると、日向君がボールを持って駆け寄って来る。
日「城戸さん!トス上げて?」
『いま?!影山に頼めばいいんじゃん?!』
日「影山のヤツ、頼んでも今はダメだとか言うんだよ···」
『私からも頼んでみるよ。···影山~!』
影「ダメだ!」
離れた場所にいる影山を呼ぶと、何も言ってないのに返事だけが返ってくる。
日「な?ダメって言うだろ?」
『ホントだ···機嫌が悪いとか、そんな感じなのかな?お昼一緒に食べた時は、別に普通だったけど』
日「一緒に食べたって、ふたりでか?」
『あ、今日は違うよ?通りがかった大地さんとスガさんと、あとは月島君と山口君もだから、6人で···かな』
影山といつもの場所に行こうとしたら、教室の入口で山口君達と会って一緒に食べることになって。
ぞろぞろ歩いてたら、階段降りたところで大地さん達と会って。
で、結局そのメンバーでお弁当食べながら合宿の事とかを聞いたんだよね。
日「いいなぁ···ね!今度オレも誘ってよ?」
『わかった、誘うね!』
やった!と言い残して、日向君はまた影山の所へと戻って行った。
あれ、トス上げて~は、どうしちゃったのかな?
清「日向、わかりやすい···」
ニコリと笑ながら清水先輩が呟いた。
『そうですね。お弁当の話をしたら、トス上げてとか忘れちゃったみたいです』
清「そうじゃなくて···フフッ···城戸さんは、そのままの城戸さんでいてね?」
『え?、あ、はい···分かりました』
清水先輩が言ってることがよく分からなかったけど、そのままの私って、なんだろう?
小さく首を傾げているうちに、部員が集まりだし、やがて練習が始まった。
私と清水先輩は、いつものようにドリンク作りから始め、記録付けやボール拾いなど、その都度、澤村先輩からの指示を受けながらマネージャーの仕事をこなして行く。
今までは清水先輩がずっと一人でやってきた仕事。
その量は数多く、微力ながらにも一緒に仕事ができる事を楽しく思えていた。
あと少しで給水タイムになるかな?と予想した時、体育館の入口に武田先生が現れた。