第27章 小さな太陽と大きな背中
出た出た、旭の悪いクセ。
体はデカいくせに、すぐそうやってネガティブ思考になる。
「まったくお前は···デカいずうたいして、相変わらずヘナチョコだな。西谷と対照的にも程がある」
旭「も少し言葉をオブラートに包めよ···」
あからさまにしょぼくれる旭を見て、苦笑が漏れる。
「安心しろ。スガはもちろん、西谷も問題はない。お前と違って懐が深いからなぁ···」
旭「お前···基本、優しいキャラじゃなかったっけ?」
「お前は対象外だ。ヘナチョコだから」
旭「グッ···」
またそうやってショボンとする···1年の時から全然変わってないな、旭は。
何となく旭に背を向けて、気付かれないようにため息を漏らす。
「ひと月も練習サボった事とか、何かいろいろ気まずいとか、来づらいとか···そういうの関係ないからな。まだバレーが好きかも知れないなら···戻って来る理由は十分だ」
旭は···まだバレーが好きなハズなんだ。
じゃなかったら、校舎から離れたこの体育館に足を運ぶ訳がない。
バレーが好きで、何度か顔を見せた日向や影山が気になるから、体育館を覗いてたんだろう。
「あ、それとな。エースに夢抱いてるヤツもいるんだからな」
旭に背中を向けたまま言って、言葉を切った。
旭···
お前を待ってるのは···西谷やスガだけじゃない。
俺だって···お前が戻って来るのを、待ってるんだからな。
だから、新しい歯車が回り出す前に···戻って来てくれよ。
もうひと声かけようとして、旭を振り返る。
そこには、自分の手を···ジッと見続ける旭がいて。
どう声をかけようか、迷って。
何て声をかけようか、迷って。
旭「痛っ?!」
出ない言葉の代わりに、鉄槌を食らわせた。