第27章 小さな太陽と大きな背中
あいつ、メチャクチャ動揺してんじゃねぇか!!
···ヤベぇ、ツボる。
堪えきれなくなった笑いで盛大に吹き出し、キッチンカウンターへもたれ掛かる。
大きな音と、うずくまる桜太を心配してか、紡が即座に立ち上がり駆け寄り声をかけている。
「つ、紡?···そっとしとけ···」
マ、マジで呼吸困難になっちまう!
···桜太のせいで!!
『桜太にぃ、大丈夫?やっぱり変だよ?』
桜「大丈夫···ちょっとよそ見してただけだから」
『なら、いいけど』
こんな面白ぇ状態だってーのに、桜太はまだ冷静を装うつもりかよ!
絶対あれ、アザになるぜ?
アザになったらアザになったで、桜太を弄るネタが増えるケドよ。
ある程度の笑いを吐き出した所で、ようやくオレの肺に新しい空気が取り込まれる。
こないだも面白かったけど、今日は今日で···プッ···や、ヤベぇ···笑いが···
『慧太にぃ、なんか手伝う』
キッチンに入りながら、紡がお気に入りのパンダ柄のエプロンに頭を通しオレに声をかける。
「おぅ、いい心掛けだな。んじゃ、そっちの盛り付け頼むわ」
分かった!とひとつ返事で紡が皿を出し作業を始めた。
テーブルを覗き見れば···桜太は突っ伏して動かない。
これでもし、紡が彼氏出来た~とか言って連れて来た日にゃ···桜太は一晩で白髪まっしぐらだな。
···それも、見てみたいけどな。
ま、そんときゃオレがカラーリングしてやっから安心しろや···アニキ?
『慧太にぃ、これはどうするの?大皿にする?それとも、先に取り分けといた方がいい?』
紡の言葉に振り返り、紡のやりやすいのでいいぞ?と返事をしながらオレは鍋をかき混ぜる。
それからテーブルへ配膳するまでの間、オレは紡といろんな話を楽しみながらキッチンに篭っていた。
悪いな桜太、オレだけ楽しんでてよ。
···早く這い上がれ?
じゃないと、紡に···また嫌いって言われんぞ?
ニヤける口元を堪えながら、オレはまた、桜太を眺めていた。