第10章 烏野高校男子バレー部
それでも流れてくる涙を押さえていると、不意に影が落ちた。
その瞬間、私は菅原先輩の腕の中にいた・・・
『えっ?!』
私は菅原先輩のその行動に驚き、顔をあげた。
菅原先輩は、ちょっとだけ動揺した瞳を揺らせながら私を見た。
菅「悲しくなる様な事を言ってしまったなら、何度でも謝るから。だからもう、泣かないでよ・・・」
そう言いながら菅原先輩は、私の頭を何回もポンポンっとしていた。
日「ひゃぁぁぁぁ!菅原先輩ってオトナのオトコみたいでカッコイイです!」
日向君の言葉にお互いザッと離れる。
菅「う、うわわわわっ!何やってんだオレは!紡ちゃん、なななんか色々ホントにゴメン!!!」
物凄く慌てている菅原先輩を見て、悪いと思いながらも私は吹き出してしまった。
『菅原先輩、なんかもう、いろいろビックリし過ぎて、涙止まっちゃいましたよ』
そう言いながら涙を拭いた。
これは笑いすぎて新たに出てきた涙。
こんなに涙が出るほど笑ったのは、なんだか久しぶりな気がした。
そんな風に笑い合っていると、午後の授業が始まる合図の予鈴が鳴る。
菅「やべっ、授業に遅れるっ!急ごう!」
そう叫んで、菅原先輩は私の手を引き駆け出した。
日向君も同時に駆け出す。
私はなんだかこの瞬間を、とても楽しく思えてしまえる気持ちに戸惑っていた。