第4章 扉のむこう
~及川side~
紡ちゃん、かなり狙われてたな。
小柄って言うだけで、バレーボールでは不利だと思われる事が多い中であの子は一生懸命やってたと思う。
もともとのポジションからセッターに変更して、ちゃんとみんなの役に立つセッターになりたいから、許される時間があるのなら特訓して欲しいって言われた時にはびっくりしたけど。
可愛い後輩だし、ほんとに可愛い女の子だし・・・いや、それは岩ちゃんに言うと怒られるんだけど。
岩ちゃん監視の元、できる限りのお手伝いはした。
まぁ、岩ちゃんが監視してたのはオレの事だけどね。
自分の彼女に悪い虫がつかないようにって、いっつもジトーっと見張られてた。
いま考えても岩ちゃん酷くない?
オレは親友の彼女にまで手ェ出したりしないのにさ。
ま、それは置いといて。
どのポジションもそうだけど、一朝一夕ではどうにかなるものではない。
そんな事はオレ自身分かっていたけど、あの子の真剣さに、オレはできる限りの事をしてあげようと思った。
なのに・・・。
あんな風に攻撃され続けたら、多分オレもうまく立ちまわれるかどうかなんてわからない。
よく頑張ったねって、ハグしてあげようっと。
それにしても岩ちゃん遅いな。
どこのトイレまで行ってんだか。
戻ってこない岩ちゃんを探しに、オレも観客席からホールに向かった。