第27章 小さな太陽と大きな背中
重くなった空気に飲まれないように、わざとおどけて笑って見せる。
旭「ははっ、確かに小柄だけど・・・でも、誰かを思う心は・・・特大だと思うよ・・・」
ここへ来た時とは明らかに違う、穏やかな笑顔で東峰先輩が笑う。
いま、私に出来る事はここまでしかない。
後は、東峰先輩の気持ちの変化次第だから・・・
ペットボトルの蓋を開け、口を付ける。
甘くて優しい味に緊張した心が溶け出した時、ポケットの中でスマホが存在を示し出した。
旭「出ても大丈夫だよ?ほら、急ぎの用だったら困るし?」
そう言ってくれる東峰先輩にすみませんと断りをいれて着信相手を確認する。
『あれ、スガさんだ・・・もしもし?』
菅 “ あっ!紡ちゃん・・・そっちの様子って、どうかな?もうコッチ帰って来る感じかな?? ”
『えぇ、まぁ・・・ぼちぼち、ですけど。何かありました?』
何となく電話越しにしてはヒソヒソ話す菅原先輩の様子が変だなと感じて、私もつい小声になる。
菅 “ 何かって言うかさ、紡ちゃんが旭と出掛けて行った後から大地の機嫌がすこぶる悪くてね・・・ ”
は?
『それだけ、ですか?』
菅 “ 大いに大問題だよ・・・妙に練習厳しいし、このままじゃきっと・・・死人が出るレベルだ・・・ ”
死人・・・?
『いやいやいや・・・スガさん?そんなに大袈裟な言い方しなくても』
菅 “ いやマジだってば!日向とか西谷なんかは変に喜んじゃってるけど、山口なんて死相が漂ってるからね・・・ ”
山口君に死相・・・?
それは大変だとは思うけど・・・
『いいんじゃないですか?だって、みんなで全国目指すんですよね?甘ったるい練習なんてしてたら、行けるものも行けませんよ?1人や2人、死人が出るくらいの練習の方が明るい未来が開けるのでは?』
菅 “ 紡ちゃん・・・死人が出たら明るい未来は開けないからね!開かれるのは棺桶のフタだからね!・・・ってか、ホント頼むよ・・・オレ達の命を救ってくれ・・・ ”
『みんなの命を救えるかは分かりませんけど、とりあえず体育館に戻りますから。それまでは生き延び、』
ー スガーーー!・・・練習中に・・・誰とモシモシしてるのかな? ー
菅 “ わぁっ!・・・だ、だだ大地?!何でもないよ、アハハ・・・ ”
澤村先輩の声と共に突然、通話が切れた・・・
