第27章 小さな太陽と大きな背中
『東峰先輩は弱い人なんかじゃない。強い人だからこそ、自分一人で責任抱えて悩んで。だけど、それが正しいかって言ったら・・・答えはノーです』
旭「オレは、城戸さんが思うほどの人間じゃないよ・・・」
見続けていた手を軽く握りしめ、膝の上に置く東峰先輩は、徐々に紅に染まっていく空を見上げた。
旭「恥ずかしい事だけど、オレは逃げたんだよ。しかも試合中に。西谷が懸命に拾ったボールをスガに繋いで、スガはオレにトスを上げようとしてたのに・・・オレは、トスを呼ばなかった・・・オレに繋いでも壁に阻まれる、だったら、違うヤツにって。結果、負けて・・・」
『負けた事は、東峰先輩ひとりの責任じゃありません。コートの中の・・・その場にいる全員の責任です。誰が一番悪いとか、そういうの・・・ありません』
旭「でもあの時、オレがトスを呼んでいたら・・・」
『結果は変わっていたと?』
私が投げた言葉に、東峰先輩は黙って下を向いた。
『私は、そうは思いません。実際のその試合を見た訳じゃないから偉そうに聞こえてしまうかもですけど、壁に阻まれてって思った時点で・・・負けです』
旭「厳しいね・・・」
『東峰先輩の手には、チームの勝敗を決める責任がかかってると思ってるかも知れない。それは間違いではないけど・・・それと同じくらい、みんなの希望と責任と覚悟がたくさん詰まってるんです』
リベロが体を張って拾うボール、セッターがエースへ繋ぐトス、みんな覚悟を決めて・・・繋ぐから。
『エースへ繋ぐ責任、最後をエースに托す覚悟。それはスガさんや西谷先輩だけじゃなくて、同じコートに立っているプレーヤー、ベンチに控えているメンバーがみんな同じ気持ちなんです。だから・・・一人で抱えるの、今日でおしまいにしましょう?体育館にはみんながいる。嬉しさはみんなで増やして、悲しさや辛さはみんなに分散して・・・チーム、なんですから』
影山だって、みんなと戦う意味に気がついた。
日向君だって、一人じゃない事に喜びを覚えた。
私だって、踏み出す勇気と大切さを気付かせて貰った。
旭「・・・そこには、城戸さんも・・・いるの、かな?」
力ない笑顔を見せながら、東峰先輩が私に投げかける。
『もちろんです!マネージャーですから!東峰先輩から見たら私なんて蟻んこみたいに小さくて、全っ然、頼りないかもですけど・・・』
