第27章 小さな太陽と大きな背中
『それで、ドーンの続きですけど・・・東峰先輩は青葉城西高校のバレー部のメンバー、分かりますか?』
旭「青城の?・・・まぁ、一応は・・・」
『試合、見た事あります?』
旭「もちろんあるよ。青城にはオレなんてきっと足下にも及ばないようなエーススパイカーがいて、凄いセッターからのトスでどんな壁も打ち破る・・・本当に、オレとは真逆の・・・」
『その、噂のスパイカーです』
瞬間、その場の時間が止まる。
実際は、ほんの数秒なのかも知れない。
でも、それは私にも東峰先輩にも長く長く感じるほどの静寂で、私は東峰先輩の言葉を待ちながら、ペットボトルのフタを開けた。
ひと口飲み、そしてまたひと口と口を付ける。
甘みに頬を緩ませた頃、ようやく止まった時間が動き出した。
旭「情報処理が追いつかなくて・・・ちょっと混乱しちゃったけど、まさか・・・?」
『その、まさかです』
旭「やっぱり聞き間違いじゃなかった・・・」
『ね?不思議ですよね?烏野の宿敵になるだろう人と終わりを迎えた場所で・・・私はそのチームの一員として、ここにいる・・・あの、聞こえてます?大丈夫ですか?』
ポカンとしたまま動きがない東峰先輩を軽く揺すり、私は出来る限りの笑顔を見せる。
旭「だ、大丈夫・・・まだびっくりの続きではあるけど。それで、そんな大事な場所に・・・どうしてオレを?」
『それは・・・ちゃんと前を向いて欲しいから、です。この場所は、お別れの日からずっと私も避けていて・・・今日、初めてこの場所まで登ってきました。前を、向く為に・・・』
今までのは、いくら大丈夫だと自分に言い聞かせてはいても、ここに足を踏み入れる事は自然と避けていた。
何度も何度も思い出しては殻に閉じこもり、その度に誰かに手を借りなければ抜け出せなかった。
私は私なりの、大きな変化を掴みたい。
どんなに足掻いても変わらない過去なら、いっそこれからの未来の為に・・・突き進みたい。
その為の心のけじめとして、この場所を選んだ。
悲しい思い出を、新しく塗り替える為に。
『私は弱い人間なので、今まではここに来る事を避けて来ました。ここへ来れば悲しい事を思い出す、辛い思いはしたくない。だったら、来なければいい。そうやって現実から逃げ続けて来ました。自分に甘えて逃げ続けて来たんです』
