第10章 烏野高校男子バレー部
日「・・・だから、今朝も城戸さんを待っててお願いしてるんだけど、ムリって言われて」
あぁ、あのお願い攻撃の事を話しているのか。
でも、誰と話してるんだろう。
会話の途中で、ボールを弾く音もする。
「日向は随分と積極的だなぁ、それにトスだったらオレが上げてあげてもいいよ?レシーブだって少しなら教えてあげられるし?」
日「ホントですか?!・・・いや、でも、菅原先輩にトス上げてもらっても意味がないんでいいです。オレは影山に認めて貰って、それでバレーもっと上手くなって、小さな巨人になりたいから・・・」
日向君の会話の相手は、菅原先輩だったのか。
それにしても、小さな・・・巨人?
あれ?確か前にどこかで聞いたような?
・・・そうだ!
私が烏野高校を受験するって行った時に、桜太にぃが言っていた。
烏養のじっちゃが監督してた時の凄い選手だとか話してくれた。
その人に憧れて、日向君はバレー頑張ってるのか・・・
それほどに頑張っているなら、中途半端に私が介入しない方が、きっといいだろうと思った。
別に人に教えるほどの腕前でもないしね。
今の話は何も聞かなかったことにしよう。
そう思って、静かにその場を離れようとした。
・・・カタンっ!
立ち上がる時に足元に置いていたマグボトルが倒れた。
ヤバッ!
慌てて拾おうとするも手が滑って更に前へ前へと転がって行き、それは日向君の足で止まった。
日「あれ?城戸さん?」
菅「え?」
そっと2人の前に歩みでると、私は日向君からマグボトルを受け取った。
『ごめんなさい・・・立ち聞きするつもりじゃなかったんだけど・・・お弁当食べてたら話し声が聞こえて、それで私の名前が出たものだから・・・』
そこまで言って、頭を下げる。
菅「そんな謝らなくてもいいよ?多分、状況からして、オレ達の方が後から来たんだし。ね?日向?」
日「そうそう!別に聞かれて困るような話とか全然してないから!」
2人とも何も気にしていない様子で私を見た。
『ホントすみません。じゃあ、私は行きますから』
もう1度軽く頭を下げて、教室に戻ろうと踵を返した。
菅「あ、ちょっと待って紡ちゃん」
菅原先輩に呼び止められ、さすがに先輩の呼び止められたものを聞こえないふりは出来ないから足を止めた。
すると、菅原先輩が歩み寄る。