第10章 烏野高校男子バレー部
昨日は飛んだハプニングがあったなと思いながら登校すると、昇降口に日向君の姿を見つけた。
バレー部に入ったのなら当然朝練に参加してるだろうに、遠くから見てもなんだかソワソワしている日向君に疑問が浮かびながら歩く。
すると向こうも私の姿を確認したらしく、物凄い勢いで駆け寄ってきた。
「おはよう城戸さん!!」
『お、おはよう日向君。朝から元気だね』
そう言いながら靴を履き替える。
じゃ、と言って立ち去ろうとすると急に腕を掴まれた。
「待って城戸さん!!俺にレシーブ教えて!!!」
『えっ?!急になに?!』
「一生のお願い!!!」
『や、無理だから』
「なんで?」
『何でって言われてもお断りします。それより入部したんなら朝練はどうしたの?』
「そ、それが・・・」
教室に辿り着くまでのあいだ、日向君は昨日私が帰った後のことを説明してくれ、更に今朝から早朝にコッソリ田中先輩と菅原先輩が特別特訓してくれている事を教えてくれる。
『先輩達が2人も協力してくれるなら、別に私じゃなくてもいいんじゃない?頑張ってね?』
話を無理やり終わらせたくて、私はそう返して教室に入る。
席につくと影山と一瞬目が合ったけど、お互い何も言わず時間が過ぎていく。
やがてチャイムがなりホームルームが始まると、今日も普通に学校生活が始まるんだな・・・と思いながらぼんやり担任の話を聞いていた。
なのに。
日向君は休み時間毎にクラスへやって来てはレシーブ教えてくれと懇願し、それを影山は黙って眺めている・・・が繰り返され、とても平穏だとは言えない1日が終わる。
そんな日向君の攻撃が続いた2日目。
昨日からのお願い攻撃に耐えかねて、お昼休みになると誰より先に教室を飛び出した。
行き先は、この前影山とお昼を食べながら話をした場所。
ここなら静かにお昼を食べ、授業が始まるまで日向君の攻撃に合うこともなく過ごせると思った。
私は1人お弁当を食べ終わり、マグボトルのミルクティーをのんびり飲みながら、日向君のお願い攻撃はいったい何日続くのかと頭を悩ませながら過ごしていると、何やら話し声が聞こえてきた。
盗みぎする訳ではないけど、声の主がどう考えても日向君であるのと同時に、合間に« 城戸さんが・・・ »なんて私の名前が出ている事に聞き耳を立ててしまう。