第27章 小さな太陽と大きな背中
影「違うのか?俺はてっきり・・・」
『影山もそこ掘り起こさないで!・・・とにかくトイレじゃありません!』
そうひと叫びして、私は西谷先輩の後を追った。
あのまま西谷先輩が行く場所は、ひとつしかない。
階段を駆け上がり、軽くノックをして見慣れたドアをガチャリと開ける。
・・・いた。
電気もつけず。
窓さえ開けず。
その部屋の真ん中に、西谷先輩は荷物さえ手放すことなく・・・佇んでいた。
『西谷先輩・・・』
小さく、名前を呼ぶ。
西「紡、今から着替える。出てけ・・・」
違う・・・
西「着替えるって言ってんだろ・・・出てけよ」
そうじゃない・・・
西「聞こえないのか?!」
『・・・出て行きません』
西「なっ・・・、」
『着替えるなら、どうぞそのまま。男子の着替えなんて、影山やら日向君やらで見慣れてます』
西「・・・ひとりにしてくれって、言ってんだ」
『お断りします・・・だって西谷先輩が、泣いてるから』
西「お前なに言って!!泣いてるわけねぇだろ!よく見ろ!」
『泣いてるじゃないですか・・・心が』
西「な、に・・・」
後ろ手でドアを閉め、真っ暗な部屋に明かりをつけた。
『西谷先輩、聞いてください。さっき西谷先輩は、東峰先輩に根性なしとか・・・言いましたよね?』
西「・・・あぁ」
『私は、東峰先輩は根性なしなんかじゃないと思います。ホントのそれだったら、とっくにバレーやめて、違う・・・生き方をしてると思います』
・・・そういう人を、私はよく知っている。
『だけど東峰先輩は、そうじゃない。いろんな事を考えて、悩んで、迷って。流れていく時間にも抗って・・・確かに西谷先輩からしたら、何してんだ!って言いたくなる、長い、時間ですけど。でも・・・バレーからは、まだ離れてない』
私に背中を向けたまま、西谷先輩は微動だに動かない。
でも話だけは、聞いてくれてる気がする。
『私には、東峰先輩や西谷先輩が何をそんなに思いつめているのかとか、そういうのはわかりません。どんな事があったのかだって、大地さんやスガさんから少し聞いただけですし。西谷先輩がイライラする理由も、私にはわかりません』
西「何が言いたいんだ、ハッキリ言えよ!」
本当は、西谷先輩がイライラする気持ちは分かってる。
だって・・・