第10章 烏野高校男子バレー部
どうにも収拾がつかない状態をまとめるべく、この2人を仲良く出来るまで入部させない、1週間後に他の1年の入部者と合わせて3対3の対決してからという条件を出して体育館扉を閉めた。
そのままいなくなってしまうには勿体ない逸材だか、バレーはチームワークが重要であり、個々が光っていても纏まりがなければ、その光も曇ってしまう。
俺は田中以外に悩みのタネが増えたな・・・と盛大な溜息を吐き練習の掛け声をかけた。
帰り道、スガと田中と歩いていると、急に城戸さんの事を話し出した。
田「あの女子は、なんか、こう、凄い礼儀正しく挨拶しながら帰っていきましたね」
菅「あぁ、田中と違ってね」
笑いながらツッコミを入れるスガに田中はぐぬぬ・・・と零すと俺達は笑った。
菅「紡ちゃんさ、マネージャーとして入ってくれたら・・・嬉しいんだけどね」
田「そうッスよ!潔子さん以外に女子が増えたら・・・なんて夢の様な部活タイム!でもオレは潔子さん一筋ッスから!」
菅「あ~ハイハイ、わかったわかった。大地はさ、どう考えてる?」
「え?俺?」
菅「他に誰がいるんだよ~、大地は紡ちゃんがマネやってくれたらいいと思わない?」
「まぁ、そうだな。今は清水が頑張ってくれてるけど、清水も俺達と同じで3年だからな。引退した後はマネージャーもいなくなってしまうし。」
菅「何にも知らなくて、誰かのファンで~とかでマネージャー入部されるより、バレー経験者だし、あの問題児2人とも普通に話してるし、どうかな?」
どうかな?って言われてもな。
正直、バレー経験者であると言うこと、更に1年生いうことは有難い。
だが、こっちの都合で無理強いすることは出来ない。
相手が女の子であるということも、無理に勧誘なんか出来ない理由の1つだと思う。
女の子だと思い返して、ふと今日の出来事が頭に浮かぶ。
触れた感触がよみがえり、少しだけ鼓動が早くなっていく自分の胸を押さえ落ち着かせた。
菅「大地?なんか赤くね?」
スガにそんな指摘をされながらも、
「何でもない」
と返して足を早めた。
マネージャー・・・か・・・
機会があったら、ちょっと話してみるか?
ぼんやりとそんな事を考えながら歩いていた。