第27章 小さな太陽と大きな背中
「エース、か・・・」
ポツリ呟いて何気なく視線を落とした場所に、城戸さんがいた。
オレを真っ直ぐ見て、何も言わずに、黙ってゆっくり頷いた。
それを彩るかのように、チャイムが鳴り出した。
影「時間だ、戻るぞ・・・」
日「まだ少しくらい・・・」
影「アホ、遅刻する・・・」
3人でオレに軽く会釈をして、歩き出す。
影「あの、一人で勝てないの当たり前です。コートには6人いるんだから・・・俺もそれ分かったの、ついこの間なんで偉そうに言えないッスけど・・・失礼します・・・」
コートには、6人いる・・・
ひとりで勝てないのは、当たり前・・・か。
オレは・・・どう、したいんだろう。
1度ゆっくり目を閉じてから息を吐き、教室に入ろうと廊下に背を向けると、小さな足音がパタパタと聞こえて来る。
『あのっ、東峰先輩!・・・えっと、今日・・・今日の放課後、ヒマですか?!あ、いえ、あの、お時間ありますか?!』
城戸さん?
「え?あ・・・別に、急ぎの用事とかはないけど・・・なに?」
『ホントですか?!』
オレがそう答えると、城戸さんはなぜか満面な笑みを浮かべて喜んだ。
・・・なんだ?
『じゃ、決まりです!今日、私と放課後デートしましょう!ね?!いいですよね!東峰先輩ヒマだって言ったし!』
「・・・えぇっ?!」
ちょ、ちょっと待って?!
それとこれとは何か違う!!
『約束ですよ、東峰先輩?・・・じゃ、また放課後に!』
「あ、あぁ・・・分かったよ。あ、ちょっと待って!ま、待ち合わせ場所とか・・・」
『あ、そうでした・・・う~ん、私は1度体育館に荷物を置きたいので・・・体育館前の渡り廊下前はイヤですか?』
「いや、そこでいいよ・・・」
『じゃ、放課後そこで』
「あぁ、わかった・・・」
来た時と同じように、小さな足音をさせながら城戸さんは戻って行く。
影「遅せぇよボケ、遅れんだろ・・・」
『ゴメンゴメン!』
影「さっさと行くぞ」
ー 可愛い~1年生・・・放課後デートだって!ー
ー ホントホント!東峰、いつの間にあんな可愛い彼女作ってたの~? ー
振り返れば、クラスの女子がオレに声をかけてくる。
「あの子は、そんなんじゃないよ・・・」
ー でもさ?そんなんじゃなかったら、放課後デートしましょう!とか、言わなくない? ー