第27章 小さな太陽と大きな背中
慧太にぃは、桜太にぃにもっと大人らしくなれと言われて、いつものように軽く返事を返す。
慧「あ、そうそう桜太。紡がオレ達に聞いて欲しい話があるんだとよ」
桜「聞いて欲しい話?いいよ、聞くよ?」
『そう改められると・・・まぁ、聞いて欲しい話っていうのはね・・・』
それから私は、入院から学校へ戻った後に西谷先輩が部活に復帰していた事や、東峰先輩の存在を知った事、それから・・・澤村先輩や菅原先輩から掻い摘んで聞いた話と。
東峰先輩と直接話した時に感じた事などを、私の出来る範囲で説明しながら・・・話してみた。
桜太にぃはいつもと変わらず、慧太にぃは珍しく茶化す事なく・・・ちゃんと最後まで、聞いてくれた。
慧「スパイカーの苦悩、ねぇ・・・分からなくもねぇけどなぁ」
桜「・・・そうだね。だけどそれは、澤村君が言う様にその人自身が乗り越えなければならない事なんだよ。例え今は、殻に閉じこまってるとしても」
やっぱり、答えは同じになっちゃうのか・・・
『そこまでは、私も頭の中でまとめる事は出来たんだけど・・・でも・・・』
桜「でも?」
『私にはスパイカーの経験はないし、苦悩って言うところが・・・分からなくて。それでさっき影山にも聞いてみたんだけど』
慧「影山?アイツはセッターだろ?」
『そうなんだけど・・・影山はスパイクも打つしブロックも飛ぶし、なんかいろいろだから、だから何か分かるかな?なんて・・・』
桜「それで、影山君はなんて言ってた?」
『分からない、って。ただ・・・チームの中で1人で苦しむのは辛い、って』
慧「何だか経験者は語る、みたいな言い方だな」
まぁ・・・そんな感じではあるけど・・・
でも中学の影山の事を話すのは、なんか違う気がして。
・・・言えなかった。
桜「コート上の王様、だったかな。」
『え?』
慧「は?」
桜「影山君が言ってる事は、その事なんじゃないかな?」
どうして、桜太にぃがそれを知っているの・・・?
予想もしていなかった桜太にぃからの言葉に動揺を隠せない。
桜「どうして?って、顔だね」
穏やかな顔で私を見る桜太にぃに、黙ってひとつ頷いた。
桜「本当に偶然なんだけど、学生の大会に当番で医師が回るんだ。その同行者として行った先で耳にしたんだよ・・・北川第一の、コート上の王様っていう、呼び名を」
