第27章 小さな太陽と大きな背中
及「それに、ホントに何もなかった・・・国見に邪魔されたからね」
国見?
俺の手を解きながら及川が言い、フゥっと息を吐いた。
及「岩ちゃんには関係ないけど、元彼枠って事で教えてあげようか?どうする?知りたい?」
着崩れた襟を正しながら、ヒヤリとする視線を向けたまま・・・今度は及川が俺を見続ける。
及「ついこの間、岩ちゃんが矢巾と練習するからってオレを追い返した、あの日。偶然にも紡ちゃんに会ったんだよ。で、声をかけて一緒に帰った」
「・・・それだけか?」
及「違うよ?紡ちゃんは一人で帰るって言ってたけど、その時はまだ松葉杖だったし?方向は同じだからって同行した。そしたら雨が降り出して、オレは公園での雨宿りを提案した。もう少しで紡ちゃんの家だったけど」
紡の家の近くの・・・公園?・・・あそこしかねぇな。
及「帰したく・・・なかったんだよね、オレが」
「自分が何言ってのか分かってんのか?!」
及「わかってるよ?・・・それで、暫く話をしてて、紡ちゃんが泣き出して」
・・・泣いた?
及「慰めようと抱き寄せたら・・・保っていた理性の鎖が、切れた」
「及川!」
及「だから、何で岩ちゃんが怒るんだよ?岩ちゃんの手からは離れてるじゃん・・・それとも、ホントはまだ・・・忘れられないから?」
「・・・大事な後輩、だから。ただ、それだけだ」
及「ま、あと少し~ってトコで紡ちゃんに抵抗されてさ?どんなタイミングなのか国見と金田一が通りかかって、邪魔されたから。結果的にはな~んにも?」
もし・・・
もし国見達が現れなかったら・・・
「その後はどうした・・・まさか一人で帰したのか?」
及「さぁ?オレは国見に金田一付けて帰されたし。国見がその後どうしたかは知らない」
国見がその場に残ったなら、送り届けたか・・・もしくは、紡の兄貴を呼んだかしただろう。
俺よりも、国見の方が紡の兄貴達とは面識もあるからな。
ただひとつ気がかりなのは。
さっきの紡の姿・・・
とりあえずは帰宅するまで影山が一緒みたいだから、一人で不安がることもねぇだろ。
「帰るぞ、及か、」
及「ねぇ岩ちゃん、覚えてる?オレ達の・・・中学の卒業式の日の事」
中学の卒業式?
「それが何だ」
及「あれ?覚えてない?運命の赤い糸の話・・・」