第10章 烏野高校男子バレー部
~澤村side~
いつもの感じでスガと田中と体育館へ向かうと、既にそこには1年生と思われる2人がいた。
声をかけると2人とも駆け寄ってきて、挨拶を交わした。
ん?
背の高い方は影山と名乗っていて、そうだ、確か大会を見に行った時にいたヤツだ・・・
北川第一中学校の、セッター。
そうか!
烏野に入ったのか!
そんな言葉を交わしていると、その影山の周りをチョロチョロと小柄なヤツが・・・
ん?
コイツもどこかで・・・
!!!
そうだ!
影山のいる学校と試合してたヤツだ!
あのビックリするようなジャンプと素早い動きの。
なるほど・・・
この2人はどちらも烏野に入ったのか。
新しく部員となって、みんなと上手くまとまってくれたら、うちの部は変化するかも知れない。
・・・と、思った矢先に・・・
何なんだ、その仲の悪さは!!!
人の話を全く聞いていないし、挙句の果てにたまたま顔を出した教頭のカツラを吹っ飛ばす始末・・・
その場で個人的に教頭に呼ばれ、小言を聞かされゲンナリした所に・・・
あれ?
体育館の入口に誰かいる・・・女の子?
パッと見て小柄な女の子は、小首を傾げながら教頭が歩いて行く姿をチラッと見て、こっちを振り向いた。
誰だろうかと考えているうちに、田中がズンズンと歩いて行き、なぜか威嚇している。
オイオイ・・・なんでアイツは誰彼構わず突っかかるんだ。
イキナリの威嚇に女の子が怖がっているじゃないか。
俺は威嚇を止めずにいる田中を捕まえた。
「コラッ!田中はなんですぐそうやって威嚇するんだ!」
すぐ暴走する田中を叱っている横から、スガが« そういう大地も!»などとツッコミを入れてくる。
俺もか!?
いや、まぁ、確かに初対面の男が2人でそんなんじゃ驚かれても仕方ない。
う~ん・・・と考え込んでいる間にスガがあっさりお互いに名乗り合い、ついでに・・・というか、俺と田中の事も紹介してくれる。
彼女は【 城戸 紡 】さんという名前。
相変わらず、誰にでもスルリと入り込める器用なヤツだ。
ひと通り名乗りあうと、体育館に何かの用事があるんじゃないのか?と聞いてみる。
すると、城戸さんは日向の落し物を届けに来たと言って、制服のポケットからそれを取り出すが、イキナリの突風に見舞われ髪とスカートを押さえた。