第10章 烏野高校男子バレー部
何度もぴょんぴょん跳ねてるうちに、体育館扉の縁に足を取られガクッと踏み外し、前のめりに倒れこんだ。
『わっ!』
影「おいっ!」
澤「危ないっ!」
私は次にやって来るだろう衝撃を覚悟して、ギュッと目を閉じた。
・・・
・・・・・・。
あれ?
痛・・・く、ない?
私はそっと目を開けると、空中に浮いた状態の自分の手足が見えた。
え?
私・・・浮いてる?
恐る恐る顔を上げて状況を確認すると、驚く事に、私を澤村先輩が片腕で抱きとめていた。
澤「ビックリしたなぁ・・・大丈夫?元気があるのはいい事なんだけど、女の子がケガでもしたら大変だからね?」
『はい・・・すみませんでした・・・』
私は宙ぶらりんのまま謝ると、まだプラプラしたままの手足を見つめていた。
失敗したなぁ・・・。
初対面の相手に恥ずかしい・・・。
菅「ところで大地はさ。いつまで紡ちゃんを独り占めしてるのかな?」
菅原先輩の言葉に私達はハッと顔を見合わせ、お互い赤面した。
澤「うわぁ、スマンスマン!いま降ろしてあげるから!」
慌てた澤村先輩が、1度体制を立て直す為に私を両腕で抱き上げて、ゆっくり降ろしてくれた。
『なんか、その。いろいろすみませんでした』
もう1度頭を下げて謝ると、これ位なんてことないから、とにこやかに言われてしまった。
私は先輩方にそれぞれ挨拶をすると、影山にも声をかけ、最後に日向君に自転車の鍵を手渡した。
そして、そのまま体育館の出入口まで来ると、もう1度先輩方に挨拶をしてからその場を離れた。
歩きながら、さっき起きた出来事を思い出す。
私を軽々と片腕で抱き抱えるとか、ビックリしたなぁ。
男の人って、みんなあんな風に軽々と持ち上げたり出来るのかな?
澤村先輩の腕が触れていた所を、そっと押さえてみる。
自分で押さえたくせに、なんだか気恥ずかしくなり顔が熱くなる。
『何やってんだろ・・・』
そう呟いて背伸びをしながら、ゆっくりと赤みがかっていく空を見上げた。