第10章 烏野高校男子バレー部
すると。
チャリン・・・
何かが落ちた様な音がしたから、足元を見ると、自転車の・・・鍵?
もちろん私はチャリ通じゃないから・・・
あっ!もしかして日向君のかも知れない。
よく見るとキーホルダーはバレー用のボールがディフォルメされた物が付いている。
これ絶対に日向君のやつだ。
自転車の鍵がないと帰る時に困るだろうと思い、届けてあげる事にした。
バレー部に入るって言ってたから、男子バレー部の体育館に行けばいいんだよね。
・・・って言っても、入学式の時の部活動紹介は、自分が部活に入ることもないから説明をうわの空で聞いていた為、場所がよく分からない。
誰かに聞くって言ってもなぁ・・・周りを見ても残っている生徒なんてほとんどいないし、かと言って職員室に行くにも・・・
そこまで考えて、私は登校した時に昇降口で配られていたチラシを思い出しカバンをゴソゴソと探した。
あった!
【 男子バレーボール部 マネージャー募集 】
これだ!!
今朝、上履きに履き替えて歩き出したところに、凄いキレイな女の先輩に手渡された案内チラシ。
そこには男子バレー部のマネージャー募集中という案内と、活動時間や場所が詳しく書いてあった。
私は急いで昇降口に向かい、靴を履き替えてからチラシに書いてある体育館へ向かった。
体育館の入口まで来ると、何やら中が騒がしい。
扉のスキマからそっと覗こうとすると急にガラガラと音を立て扉が開けられた。
ビックリして立ち尽くしていると、なぜだか分からないけど、何かをブツブツと言いながら教頭先生が出ていった。
何事?
なんて思いながら、教頭先生の後ろ姿をチラリと見てから体育館を振り返ると、そこには影山と先程の日向君、そして上級生らしき3人がじっとコチラを見ていた。
その中の1人の坊主頭の人と目が合うと、その人は私の方にズンズンと大股で近づいてきた。
「なぁんか用ですかぁ~?」
ちょっと威嚇して来るような視線と態度で歩いて来て、体育館の扉に寄りかかった。
『あの、えっと・・・私は・・・』
何も悪い事はしていないのに、今にもガブリと噛みつかれそうな勢いで来られると、少し萎縮する。
ただ単に、落し物を届けに来たと伝えればいいのだけれど、そのひと言が出てこない。
「はい~?な~んですかぁ~?」
更に距離が縮まる。