第10章 烏野高校男子バレー部
放課後になると、これから部活見学や入部届けを出しに行く人、家に帰る人などにそれとなく分かれ教室はあっという間にガランとした。
影山は教室を取る時に1度私の席まで来て
「お前ホントに部活やらねぇのか?」
『残念ながら、そうみたい』
そんな会話をすると、チッと舌打ちして教室を出ていった。
待って。
なんで舌打ちされたの私。
何となくムッとしながらも、さっさと帰ろうとま呟き、私も席を立ちドアへ歩き出した。
・・・・・・ドンッ!!・・・・・・
「うわぁっっっ!!!」
『わっ!』
教室から出た瞬間、体全体に衝撃が襲う。
いったい何が起きたんだと周りを見ると、荷物は散乱し、廊下の窓側には体の上下が逆さまになった男子が転がっていた。
私は立ち上がり、起き上がるのに手を貸してあげた。
『大丈夫?』
「ご、ごごごごごめんなさい!そっちこそ大丈夫?!」
『衝撃にビックリはしたけど、ケガとかは大丈夫みたい』
お互いにケガがない事を確認し、それぞれの荷物を拾い集める。
とはいっても、散乱した物のほとんどが私の教科書やらプリントで、その大半を拾い集めて貰ったと言った方が正解かも知れない。
「はい。これで全部あるかな?・・・えっと・・・シロ・・・んっと?」
『キドです。城戸紡。キミは?』
「オレ?オレは日向翔陽!」
『じゃあ、日向君、荷物集めてくれてありがとう。・・・それにしても、そんなに急いでどこに行く途中だったの?』
「オレ、バレー部に入るんだ!!ちょっとでも早く練習したくて、つい・・・」
『そっか、部活に行くとこだったんだね。ごめんね、拾ってもらったりして時間取らせちゃって・・・』
「そんな事ないよ!オレがぶつかったのが悪いんだし、じゃ、オレ行くね!!」
日向君か・・・。
バレー部に入るんだと言っていた彼は、私よりは大きいものの、バレーボールをやってます・・・って言うには小柄な感じだった。
リベロ・・・かな?
それともセッター?
セッターだったら、影山も部活入るって言ってたからポジション被っちゃうな。
っていうか!
なんで私がそんな事を気にしてんだろう。
別にポジション被ったっていいじゃん。
まだ1年なんだし。
2年とか3年に正セッターとかいるでしょ。
そんな事を考えつつ、私は廊下を歩き出そうとした。