第27章 小さな太陽と大きな背中
ー 菅原、お前あの子と知り合い? ー
オレが声をかけたせいで、ギャラリーがわらわらと集まって来る。
「知り合いっていうか、まぁ・・・」
ー あの子って1年生だろ?俺何度か見たことあるぜ?いつも同じ1年の、なんかこう目つき険しいヤツと一緒に歩いてる ー
・・・あぁ、それ多分、いや、きっと影山な。
ー オレも見た事ある!あれ?でもオレが見た時は別の1年といたけど・・・ほら、あのやたら背が高い2人組の! ー
お前が言ってるのは、間違いなく月島と山口だな。
ー 澤村やばくね!1年に敵だらけ!でもさぁ・・・それでも澤村と弁当食べる仲だろ?いいよなぁ、あんな可愛い彼女いてさ ー
道「彼女・・・」
そのワードに、道宮の表情が曇った。
「あの、道宮?さっきの子は、」
道「澤村に・・・渡しといて?壮行会の資料と、次の部長会のプリントだから・・・じゃ
・・・」
「道宮?」
曇った表情のまま、道宮が教室から出て行った。
絶対、勘違いしてるままだよな、あれ。
だって道宮は、大地の事・・・ずっと・・・
ー なぁ菅原、澤村っていつから彼女いたんだ? ー
まだその話かよ。
「あの子は大地の彼女なんかじゃないよ。男バレの関係者!」
ー マジで?・・・じゃあさ、今度オレに紹介してくれよ!菅原も知り合いなんだろ?な、頼む!ー
「嫌だ。めんどくさい」
何でオレが、自分で敵を増やさなきゃなんだよ。
部内でだってオオカミだらけだっつーのに。
影山に月島に山口に・・・それから多分、縁下に・・・
そして・・・恐らく、大地も。
なかでも大きくリードしてるのは、影山だよなぁ。
紡ちゃんの、影山への信頼度はかなり高い。
油断出来ないのは、山口だけど!
おとなしそうな顔して、スルッと隙間に入って来そうだ。
・・・弁当の続き、食べよ。
やたら分析するのは、オレの悪い癖だ。
あ~あ、オレも紡ちゃんと一緒に食べたかったなぁ。
・・・明日、誘ってみるか?
そうしよう!
楽しい事を思いつき、その先を考えながらオレはひとり、席に戻った。