第27章 小さな太陽と大きな背中
~菅原side~
さぁてと、大地は用があるってどっか行っちゃったし。
ちゃっちゃと弁当食って昼寝でもすっかな。
スマホを開きながら弁当の蓋をあけ、キレイに詰め込まれた唐揚げを見つけ、やった!と心でガッツポーズをする。
朝起きた時、匂いしてたしなぁ・・・唐揚げの。
ひとつを口に入れ、慣れ親しんだ味を噛み締めた。
ー おーい菅原!澤村は? ー
教室の入口から呼ばれ、振り向いた。
「なんだ道宮かぁ」
道「なんだ、って・・・私で悪かったわね。で、澤村は?いないの?」
「深い意味はないって。それに、大地ならいま、」
ー おいっ、アレ澤村じゃん?!女の子と歩いてるぞ! ー
ー マジ?・・・あ、ホントだ!しかもなんか可愛いじゃん!! ー
道「・・・え?」
大地?
クラスメイトの声を聞いて、道宮が窓際に駆け寄り、オレもなんとなく席を立って道宮の後を追った。
ー あの澤村がねぇ・・・バレーの事しか考えてなさそうだったのに、アイツにも春が来たのか ー
ー おおっ?!ちょっと見ろよ!澤村が髪に手を!! ー
窓際族をかき分け外を見ると、確かに大地は女の子といるけど・・・
あれ、紡ちゃんじゃん?!
大地、用事があるってのは紡ちゃんの事だったのか。
それならそう言ってくれればいいのに。
はぁ・・・と息を付いてから、もう1度外を見た。
「おーい!紡ちゃーん!」
オレが叫ぶと、紡ちゃんが誰に呼ばれたのか分からずに周りを見回している。
でも、大地にはオレが呼んだのが分かったみたいで、ぽんっと頭に手を乗せてオレの居場所を指さした。
『スガさん、こんにちはー!』
まだ使い慣れないだろう松葉杖に体を預けながら、オレに手まで振ってくれる。
・・・のは、嬉しいんだけど。
「危なっ!」
そのせいで立っているバランスを崩し大地が抱きとめ、きちんと立たせてあげている。
ー おおっー?!澤村が・・・あの澤村が!! ー
ギャラリー、うるさいよ。
「紡ちゃん!大地とどこ行くの?!」
『これから大地さんと一緒にお弁当食べるんです!』
・・・聞かなきゃ、よかった。
「そっか!弁当と一緒に大地に齧られるなよー?」
澤「スガじゃあるまいし!」
笑いながら言うと、紡ちゃんより先に大地が叫んだ。
それから紡ちゃんはオレにもう1度手を振って行ってしまった。