第10章 烏野高校男子バレー部
~影山side~
最初に城戸を見かけたのは入試の時だった。
あれ?
もしかして城戸?
アイツが烏野を受験?
いや、アイツは確かアチコチから推薦きてたはずだし、他人の空似か。
そう思っていたが。
入学式の時のあとのホームルームで恒例の自己紹介で、それは確信へと変わった。
« 城戸 紡です。北川第一中学校から来ました 。宜しくお願いします »
やっぱり城戸?
でも、オレがよく知っている城戸とは正反対の風貌に驚いた。
長くてキレイな黒髪をバッサリ切り落とし、パーマをかけて、更に髪の色まで変わって、赤い縁取りのメガネ。
ホントにあれは城戸なのか?
他のヤツらは自己紹介でサッカー部だった、バレー部だった、吹奏楽やっていたなど一言添えてるのに何も言わねぇし。
とにかく昨日は、何だかモヤモヤした感じで1日が終わった。
・・・で、今日。
早弁したオレは昼休みに購買のパンを買って教室に戻る途中、弁当袋を提げて一人どこかに行こうとする城戸を見つけた。
思わず肩を掴み声をかけたが、それがいけなかった。
周りのヤツらから見たら、オレが因縁つけたかのように見られヒソヒソしている。
メンドクセーと思って、城戸の手を引いて場所を移動したが・・・
あ?
なんでコイツ小走りしてんだ?
この辺でいいかと立ち止まれば、背中に衝撃があり、振り返ると城戸が突っ込んでいる。
ちゃんと前見とけと言えば、鼻の頭を押さえながら反論。
何度も確認したが、やっぱり城戸だった。
その辺で待ってろと声かけて、自販機へ急ぐ。
確かアイツが好きなのは・・・ミルクティ。
2人分の飲み物を買って戻ると、階段にちょこんと座る城戸。
・・・ヤベェ、か、かわいい。
思わずニヤけた顔を見られないようにミルクティを渡し隣に座る。
オレはパンを食べながら疑問に思った事をつぎつきと城戸に聞いた。
なんで烏野にいる?
バレーやらないのか?
そのイメチェンみたいのはなんだ?
岩泉さんはその事を知ってんのか?
・・・ん?
いま、岩泉さんの名前を出したら、明らかに表情が変わった?
ケンカでもしたのか?
まぁ、そんなイメチェンみたいのしたら、岩泉さんだって何かしら言うだろう。
「普段から仲良いんだから、心配ないだろ」