第26章 交差する想い
縁下先輩・・・縁下・・・
頭の中で名前を繰り返しながら、どんな人物だったかを思い出す。
・・・あ、彼の事か!
前に体育館に足を運んだ時に、澤村君が彼をそう呼んでいたな。
見た目はおとなしい感じの、何でもソツなくこなしそうな・・・
『そう言えば、縁下先輩って桜太にぃみたいな感じがするかも』
「俺?」
『うん、そう。なんかそんな感じがしたんだよね。何でだろう・・・暖かいっていうか、いい匂いっていうか、う~ん・・・』
暖かい?!・・・何が?!
いい匂いって?!・・・どういう?!
慧「紡そんくらいにしとけ。じゃないと桜太が今夜、枕を濡らす・・・」
「慧太!バカなこと言うな!」
ニヤニヤする慧太に一括すると、更に慧太がニヤニヤする。
『なに?2人とも変なの』
「何でもないよ。変なのは慧太だけだから、紡は、気にしなくていいから。ね?」
『・・・そうだね。慧太にぃはいつも変だからね』
紡の頭をそっと撫でながら、お互い顔を見合わせて笑う。
慧「またオレだけ塩対応かよ・・・」
慧太のそんな呟きを聞いて、俺達はまた笑った。