第26章 交差する想い
~桜太side~
慧太と一緒に紡の所へ行くと、まだ、日も落ちきっていないと言うのにスヤスヤと眠っていた。
慧「うちの姫さんは、随分とグッスリだな。寝る子は育つってか?の、割には?だけどよ」
「それ、紡が聞いたら怒ると思うよ?」
紡は人より小柄な事を気にしているからね。
家族の中でも1番小さいって事も。
その小柄さが、尚更・・・守らないとって言う思いと、そして、愛おしいと思う気持ちで俺達の胸の奥を暖かくするのに。
紡は、全く気がつかないけど。
そこがまた、俺達の心をくすぐっているんだけどね。
眠っている紡の頬を軽くつつく。
うん、このプニプニ感も・・・小さい頃と変わらない。
慧「おい・・・起きちまうだろ」
「しーっ!慧太の声で起きちゃうだろ?ね、慧太もツンツンしてみなよ?」
共犯を作るかのように、慧太にも同じことをやるように勧めると、仕方ねぇなぁと言いながらも自ら進んで頬をつつく。
慧「昔と変わらねぇ感触だな」
「だろ?」
慧「あぁ・・・オレ達、赤ん坊の紡が寝てるのをつついては、母さんに怒られてたな?」
「そうだね・・・」
でも、俺達のそれは、早く紡を構いたくて、寝てるのを見ると・・・つついたり撫でたりしてたんだよな。
それで紡が起きて泣いたりしたら、母さんは休んでてとか言って俺達が代わる代わる面倒見て、ご飯をあげたり、ミルクをあげたり・・・
その辺は、今も変わらないかな?
それもあって、大げさかも知れないけど、紡は・・・
俺と慧太が大事に大事に、育てて来たような感じ。
だから父さんと母さんが海外ボランティアに行く事になって紡を連れて行くかどうするか?って話が大人4人の中で上がった時、意見が割れたんだよな。
もちろん、俺達は紡を離したくなくて。
だけど、父さん達もそれは同じで。
長い、話し合いだったなぁ。
結果は、今この通りなんだけど。
紡が辛い思いや、こんな風にケガをすると・・・凄く、胸が痛む。
俺達と一緒で・・・良かったんだろうか・・・って。
もしかしたら、父さん達と一緒にいた方が・・・とも。
その答えは、俺達がどれだけ考えても・・・紡にしか分からないんだけどね。
慧「桜太、何でも1人で飲み込もうとすんなよ?」
出た出た。
慧太のエスパー能力・・・