第9章 新しい生活への1歩
「「・・・カラー!?」」
桜「何もそこまでしなくても大丈夫なんじゃない?」
慧「そ、そうだよな!?入学式早々、教頭に呼び出されるつもりかよ」
『そういう訳じゃないけど、入学式終わってからイメチェンするより、その前からにしとけば自分も気持ちが新しく変わるかなって』
慧「カラーって、例えばどんな感じにしたいんだ?」
慧太にぃの言葉に、桜太にぃもコーヒーを飲みながら耳を傾ける。
『まだ、迷ってるんだけど・・・金髪とかどう?』
ー ゴフッ ー
桜「ゴホッ・・・ゴホッゴホッ・・・」
慧「汚ぇな、桜太」
なんてね?冗談って言おうとしてたのに、 【金髪】というフレーズに驚いた桜太にぃがコーヒーを吹き出しむせていた。
『まぁ、金髪ってのは冗談だけどね』
テーブルを片付けながら呟く。
慧「オレも驚いたけどな。金髪はマズイだろ、金髪は。」
『だから冗談だって。でもさ、ミルクティーみたいなのとか、カフェオレみたいな感じとかにしたら、かわいいと思わない?』
桜「紡。髪型変えたりとか、そう言うのは反対しない。でもね、ヘアカラーを、しかもかなり明るい色って賛成は出来ないな」
コーヒーを吹き出し、咳き込んでいた桜太にぃが、それが落ち着くと会話の中に入ってくる。
慧「まぁ・・・入学してからでも遅くねぇし、今のところはカット、パーマくらいでいいだろ?店の予約とかオレやっとくからさ」
そう簡単にはOKを出さない2人に、ほんのちょっとだけ怯む。
仕方ない、作戦Bに変更しよう。
『じゃあ、いいや。今の話は聞かなかった事にしといて』
そう言って私は立ち上がり、スマホを握りしめリビングを出ようとする。
すると、慧太にぃが続けて立ち上がり近づいてくる。
慧「すねるなよ紡。カットとかはオレがやってあげるから」
『聞かなかった事でいいって言ったじゃん。 もう終わった話なんだからアッチ行って。私いまから電話かける所あるんだから!』
そう言って、むりやり慧太にぃをリビングの中へと押し返す。
バタン!と、ドアを閉めて、その隣の壁に寄りかかって向こう側の様子を探る。
うん、慧太にぃが聞き耳を立ててる感じがする。
よし。
私は自分の電話番号を押して、スマホを耳に当てる。
« お留守番サービスに接続します»
当然、このメッセージが流れる。