第9章 新しい生活への1歩
私は無事に受験した高校を合格し、その後は卒業式、春休み・・・と次々にイベントが通りすぎて行った。
及川先輩とは、時々LINEや電話で連絡が来ていて、《 合格おめでとー!!》とか、《卒業おめでとー!!》など、イベント毎のメッセージも必ず届いていた。
ごくたまに、松川さんからも連絡が来て、及川がどうの、部活が疲れたなど近況報告され、私の知らない場所での話をたくさんしてくれて、いつも笑わせてくれた。
私は春休みに入ると、今までよりも特にやる事もなく、時間があれば地下の体育館に入り浸っては体を動かす毎日を送っていた。
入学式までは、あと1週間・・・。
私は新たな高校生活に向けて、実は密かに考えていることがあった。
もしかしたら、というより 兄達2人からは反対されてしまうかも知れないけど、反対されたら反対されたで別の作戦を遂行するのみだ。
今日は確か、2人とも休みで家にいる。
チャンスは今日だ。
私は汗を流すためにシャワーを浴びながら、1人ニヤリと笑みを浮かべていた。
手早目にシャワーを出て、両頬にバシンっと気合を入れるとリビングへ足早に向かった。
ちょっと後ろめたい気持ちがあるのか、リビングのドアを遠慮がちに開ける。
サッと見渡すと・・・桜太にぃはテーブルに新聞を広げながら読み、慧太にぃはソファーに寝転がりながらヘアーカタログ誌を捲っていた。
桜「紡?どうしたの?」
リビングには足を踏み入れたものの、そこから何をするでもない私を桜太にぃが見る。
『コーヒー、飲もうかな。みんなも飲む?』
私がそう言うと、二人とも« そうだね、お願いするよ »と返してきたので人数分のコーヒーを用意した。
私はとりあえずの一口を飲むと、自分の中での作戦Aを決行する。
『桜太にぃ、私ね、長く伸ばしてきたこの髪を切ろうと思うって。来週からは新しい生活が始まるし、思い切ってイメチェンするのもいいかな?って』
桜「別に紡がそうしたいなら、いいんじゃない?慧太の働いてる店でも予約する?」
慧「あ?別に切るだけなら家でも出来んだろ?今日ヒマだし切ってやってもイイけど?」
『うん・・・後ね。パーマとかもかけたいし美容院でお願いしたいかも?カラーとかやりたいし』
そこまで一気に言うと、予想通りふたりいっしょに驚いている。