第25章 追憶
混線する頭で、城戸から聞いた話を思い出す。
確か・・・
ー 岩泉先輩とは終わった ー
ー バレーはもうやらない ー
ー これからまた、恋愛たくさん出来るかもだから ー
・・・こんなのしか思い出せねぇ。
俺としては、そんなにたくさん恋愛されたら・・・
困るんだけど?!
ただでさえ、今の状態でモヤモヤイライラしてんのに。
いや、ちょっと待てよ?
岩泉さんと城戸が別れた理由って・・・なんだっけ?
・・・・・・・・・。
そこだけ、思い出せねぇ。
バレーが理由ってことだけしか分かんねぇ。
・・・?!
じゃあ?!
岩泉さんと城戸は・・・?
お互い・・・好きなままで別れたって、事か?
もし、お互いまだ好きなままでいたら・・・
腹減ったし・・・これ以上、考えるのはやめよう。
握りしめたままのスマホが、また震えだした。
チッ。
母さんかよ。
「なに」
母 “なにじゃないわよ!アンタどこまで買いに行ってんのよ?地球の裏側?! ”
そんなトコまで卵買いに行くワケねーだろ!!
「うっせぇな!!すぐ帰ってやるから温玉作るお湯でも沸かして待ってろよ!」
勢いで言い切って、そのまま通話も切った。
ゴチャゴチャ考えたって仕方ねぇ。
俺は・・・俺の意思で、城戸の側にいたい。
それが例え、どんな形になっても。
小さく息をつきながらポケットにスマホを突っ込み、俺は家に向かって走り出した。